知れば知るほど面白いパラバドミントン。魅力は各クラスの工夫や戦術 (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 今大会の日本のメンバーで、たとえば伊藤則子(SL3/中日新聞社)と浦哲雄(SU5/グリーンスタンプ)組や、杉野明子(SU5/ヤフー)・末永敏明(SL3/昭和電工)組らが、合計「8」となる。下肢障がい同士の「SL3+SL4」で合計「7」、「SL4+SL4」で合計「8」のペアもいる。合計「10」となるSU5同士、合計「9」となる「SL4+SU5」は組むことができない。

 一般のミックスダブルスのように男子選手の運動量が多くなるが、女子選手が上肢障がいクラスの杉野・末永組のようにローテーションで戦術を立てることも可能だ。

 2020年東京パラリンピックで、パラバドミントンは14種目が実施される。初採用ながら手厚い配分になったと言えるだろう。その一方で、SU5の男子ダブルス、SL3の女子シングルスなどは実施が見送られた。単複での東京パラ出場を目標にしていた女子SL3の伊藤は当初、「シングルスがないのは本当に残念」と語っていたが、気持ちを切り替え、現在はこのミックスダブルスと女子ダブルスで東京を目指している。

 東京パラでこのクラスのシングルスが採用されなかったのは、全体的に競技人口が少ないためとも言われている。国内の女子SL3の強化指定選手は伊藤を含めて2人しかおらず、今大会は伊藤が唯一の出場者だ。右脚義足の伊藤はクラスのなかでも障がいが重いほうだが、今季、競技専用の義足を新調するなどして、東京を見据えている。その強い眼差しからは、自身が活躍することで、SL3の競技人口増加につなげたいという強い思いを感じることができる。

 今大会は苦戦が続くが、伊藤は「これからも前衛の自分が狙われると思うけれど、きっちり止められるようにがんばりたい」と話してくれた。

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