ボッチャ国内初の国際大会で観客を沸かせた「ミリ単位の超絶技巧」 (4ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 今回は、ボッチャの普及・発展につながる価値ある大会になった。日本代表の国際競技力を高めることを目指し開催されたものだが、ペア戦、チーム戦とも2試合ずつ行なったのは、ライバルチームを含め、あらゆる戦術データを取るためでもあった。赤ボールと青ボールでスローイングボックスの位置が変わるため、それぞれ選手がどうポジションを変化させ、エンドごとにどういった攻め方をするのかチェックする、というものだ。今回得た情報は、世界との差を縮め、追い越すために大いに活用されることだろう。

 また、今大会は会場にコート1面のみを設置する特別仕様で実施された。コートの周り3方向に仮設スタンドが設置され、観客がより近距離で試合を観戦できる形にした。試合の実況・解説も行なわれ、「観やすい」と好評で、2日間で1000人以上が会場に足を運び、ボッチャの体験会も盛況だった。タイ人選手も「まるで大きな国際大会のようで、エキサイティングだった。観客から力をもらえた」と驚いた様子。廣瀬もまた、「2020年につながる大会になったと思う」と話し、充実した表情を見せていた。

 国内では、肢体不自由特別支援学校の日本一決定戦「ボッチャ甲子園」や、選手が地域で体験会や学校訪問を行なう「ボッチャキャラバン」などを通して、競技人口が増加中だ。

 だが、日本代表に選ばれ、世界で活躍できるのは一握りの選手のみ。若い選手にとって、今回のような大会は海外勢の技術や戦術を盗み、同時にトップアスリートの高い意識を感じられる貴重な機会になる。閉会式では、第2回大会の開催も発表され、ジャパンパラというステージから世界に羽ばたく選手も、これから増えていきそうだ。見れば見るほどハマる、奥深いボッチャに、これからも注目していきたい。

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