パラアイスホッケー日本代表、苦難の7年を乗り越えて掴んだ平昌キップ (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・撮影 text & photo by Araki Miharu

 中北浩仁監督は、「パラに出たい、連れていきたいという気持ちが、我々を勝たせてくれた」と語る。監督の元には、カナダやアメリカなど強豪チームから「おめでとう。でも、どうやってここまで上げたんだ?」とメッセージが届いたそうだ。たしかに、4年前に敗退したソチ大会の最終予選時のメンバーと、現在の顔ぶれは実はあまり変わっていない。では、なぜ勝てたのか? その質問に、中北監督はこう答えた。

「(仕事のため海外在住の)私が日本を離れる間、アシスタントコーチのみなさんが、選手たちの底上げをどんどんしてくれた。それでチーム力が上がり、ここに来てひとつにまとまり始めた。それがこの最終予選で力として発揮できた、ということだと思います」

 事実、若手期待の児玉直(東京アイスバーンズ)は今大会、第2セットのフォワードに起用され、ドイツ戦とスロバキア戦で得点をマークして期待に応えた。また、2013年に競技を始めて以来、第一線で活躍する堀江航(長野サンダーバーズ)も、今大会は急きょ、第1セットのDFからFWにコンバートされたが、柔軟に対応し、2ゴール5アシストと気を吐いた。

 現在、高橋泰彦、町井清の両氏がアシスタントコーチを務め、加えて今年5月からは、元アイスホッケー男子日本代表GKで、かつて女子日本代表監督を務めた信田憲司氏がコーチとしてチームをサポートしている。経験豊富な信田コーチの新たな指導がスパイスとなり、日本が重視してきた守りのシステムの幅が広がった。

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