リオパラリンピック開幕。日本の有力選手・注目選手は誰だ? (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●文 text by Miyazaki Toshiya

 また、自転車のような長いフォルムが特徴の競技用車いす「レーサー」を駆使して勝負するマラソンの土田和歌子(八千代工業)もぜひとも期待したい。1998年長野パラ、アイススレッジスピードレース1500m・1000mで金メダル獲得後、夏のパラ陸上に転向。5000mではアテネ大会で金メダルをつかんでいるが、マラソンではシドニー銅、アテネ銀に終わっており、リオで悲願の金メダルを狙う。

 日本のお家芸である柔道は、パラでは視覚障がいの選手が組み合った状態から試合開始となる以外、健常とほぼ同じルール。リオでは男子100kg超級の正木健人(エイベックス)がパラリンピック2連覇に挑戦する。先天性の弱視ながら学生時代は健常の柔道に励んだ正木。天理大で当時監督を務めていた、シドニーオリンピック銀メダリスト篠原信一から直接指導を受けていた。150kgを超える巨漢が得意の払い腰を炸裂させるか。

 団体競技では、視覚障がい者のための対戦型競技として考案された、ゴールボールも楽しみだ。選手たちは転がってくるボールに仕込まれた鈴の音だけを頼りに体を張ってゴールを守り、攻撃する。1チーム3名。選手は「アイシェード」と呼ばれる目隠しをして、全員平等な条件でプレーする。試合開始直前、レフリーの「クワイエット・プリーズ!」(お静かに願います)を合図に静まり返る競技場は独特の雰囲気だ。

 14歳で右目、19歳で左目が黄斑変性症となり、視野の中央部分が見えない安達阿記子(リーフラス)は、ロンドンの決勝で唯一の得点をあげたエースだ。20歳のときに網膜色素変性症を患った浦田理恵(シーズアスリート)は、アテネ大会での日本代表の活躍に感動してゴールボールを始め、今では鉄壁のディフェンスでチームを救う司令塔でキャプテン。メラニン色素が欠乏し、照明や太陽光がまぶしく見える先天性白皮症の欠端瑛子(セガサミー)は、元プロ野球選投手の父親、光則譲りの強肩が武器。

 日本女子はアテネパラリンピックで初出場ながら銅メダルを獲得し、ロンドンでは見事、金メダルに輝き、リオで連覇を目指す。

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