フェンシング江村美咲が「本当に生きづらい性格」という理由 ロス五輪へ「金メダル、金メダル」と言われることへの違和感 (3ページ目)
【また苦しんでしまうんだろうな】
── 最後に、金メダルへのこだわりについてお聞きしたいです。
「目標はもちろん高いですけど、『金メダル、金メダル』と言われると、少し違和感があります。世間の感覚としてメダルの重要度が高いのはわかるんですけど、自分のなかでは、パリの時に『楽しむ』という目標を立てたのに、それが全然できませんでした。頭が凝り固まってしまって、出しきった感覚がなかった。全部、本当にいつもの自分ではありませんでした。
金メダルという目標を達成するためにも、まずは楽しんで全力を出すことができないといけない。だから優先順位としては、『出しきったと思える試合をすること』が一番上にあります。そのあとにメダルがついてきたらもっといいな、という感覚が強いです。
今では、以前は楽しめなかった団体戦を、やっと楽しいと思えるようになってきました。今は、次のロサンゼルスを目指す道のスタート地点。楽しんで全力を出す。結果はあとからついてくる。
また苦しんでしまうんだろうなと思いつつも、だいぶ変わった今の自分で、出しきったと思える試合をしたいです」
(おわり/文中敬称略)
【profile】
江村美咲(えむら・みさき)
1998年11月20日生まれ、大分県大分市出身。170cm。女子サーブル。ソウル五輪フルーレ代表の父と世界選手権エペ代表の母のもと、幼少期に競技を開始。大原学園高(JOCエリートアカデミー)時代から頭角を現し、中央大学進学後も実績を積んだ。2021年4月、日本フェンシング界初のプロ選手として活動を開始。世界選手権個人戦2連覇や、2024年パリオリンピックでの日本選手団旗手、団体銅メダル獲得など歴史的快挙を達成。抜群のスピードと果敢なアタックを武器に、日本フェンシング界を牽引している。
著者プロフィール
了戒美子 (りょうかい・よしこ)
1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。
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