フェンシング江村美咲を襲った燃え尽き症候群 「やってしまえ」と髪を全頭ブリーチしたら、心が解放された (4ページ目)
【「休みは悪」と思っていた10代】
── コーチが変わったことは、メンタル面への影響も大きかったのですね?
「中学・高校時代に教わっていた熱血コーチだったら、ブリーチはできなかったかもしれないですよね。怒られはしないと思いますけど、もし結果が出なかったら、『髪を染めている場合か!』って言われそうな気はします。でも今は、みんなものびのびと楽しめています。
10代の頃は『休みは悪』だと思っていましたし、休むことへの罪悪感もありました。でも、休んだことで変われたのが現実です。基本的に、失敗や負けたことから得るもののほうが多いタイプなんです。リオに行けなかったことも、東京のあとに休んだ2週間もそう。負けが、その時その時でいろいろなことを教えてくれました」
── 10代の頃に持っていた完璧主義の苦しみが、少しずつ薄らいできたのですね。
「今は、当時よりかなり柔軟になったと思います。もちろん、まだ完璧主義なところはありますし、自己評価も低い。ちゃんと結果を出さないと、自分のことを信じてあげられないところもあります。
つらいし、めんどくさいし、本当に生きづらい性格なんですけどね。でも最近は、年を取るのもいいよね、って感じています」
(つづく/文中敬称略)
◆江村美咲・後編>>「本当に生きづらい性格なんです」という理由
◆江村美咲・フォトギャラリー>>
【profile】
江村美咲(えむら・みさき)
1998年11月20日生まれ、大分県大分市出身。170cm。女子サーブル。ソウル五輪フルーレ代表の父と世界選手権エペ代表の母のもと、幼少期に競技を開始。大原学園高(JOCエリートアカデミー)時代から頭角を現し、中央大学進学後も実績を積んだ。2021年4月、日本フェンシング界初のプロ選手として活動を開始。世界選手権個人戦2連覇や、2024年パリオリンピックでの日本選手団旗手、団体銅メダル獲得など歴史的快挙を達成。抜群のスピードと果敢なアタックを武器に、日本フェンシング界を牽引している。
著者プロフィール
了戒美子 (りょうかい・よしこ)
1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。
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