フェンシング江村美咲を襲った燃え尽き症候群 「やってしまえ」と髪を全頭ブリーチしたら、心が解放された (3ページ目)
【コーチに言われた「楽しめ」の意味】
── 2021年の東京オリンピックに向けて突き進んだ時期ですね。
「でも、この時期はこの時期で苦しかったです。東京オリンピック前は『生きるか死ぬか』くらい、自分を追い込んでいました。『ほかの人がやっていない時にやらないと、勝てるわけがない』と思っていて、休むことに対する罪悪感がすごかったんです。『やらなければ死ぬ』くらいの感覚で、とにかく量を求めて練習していました。
あと、精神的には団体戦が苦しかったです。フェンシングは団体戦の順位次第で、オリンピックの個人戦に出場できる人数が変わってきます。だから、五輪出場権に関わる大会になると、コーチたちの熱もすごく強くなる。そこで変に日本人っぽい責任感の強さが出てしまって、『自分のせいで負けたらどうしよう』と萎縮してしまうこともありました。
それに、団体戦は試合数が多いんです。トーナメントで負けても順位決定戦があって、負けたのに、あと3試合しなければいけない。その時のモチベーションを保つのが本当につらかったです」
── 東京オリンピックでは女子サーブル個人13位、団体5位の結果を残しました。しかしその後、燃え尽き症候群のようになってしまったそうですね。
「東京オリンピック後、フランス人のジェローム・グースさんが代表コーチになったんです。ジェロームはずっと『楽しめ』と言っていたんですけど、最初の頃はそれが全然ピンときていませんでした。
東京オリンピックが終わった直後もエネルギーが続いていて、休むことなく走り続けました。その結果、いろんなことが重なって燃え尽きてしまったんです。
その時、ジェロームに『2週間休め』と言われて、何をしようかと考えた時に、ずっとやってみたかった全頭ブリーチをしたんです。それが、今のヘアスタイルにつながっています。それまではいろんなことを考えて踏み出せなかったんですけど、その時はもう燃え尽きていたので、いろんなことがどうでもよくなっていて。『やってしまえ』という感じでした(笑)。
やってみたら、思いのほか楽しくて。ジェロームからはいつも『楽しめ』と言われていて、最初は全然ピンとこなかったんですけど、今はようやくその意味がわかるようになりました。そのほうがパフォーマンスもいいなと思います」
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