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「地獄を味わった」と語る岡慎之助が太田海也の言葉に感銘「その感覚はすごく大事だなと思います」 (3ページ目)

  • text by Sportiva

【「本当に楽しくなかった」】

――今、世界選手権の話も出ましたが、2025年10月下旬に自転車競技も体操も世界選手権がありました。太田選手はケイリンで初の決勝に進出しましたが、この世界選手権はどう捉えていますか。

太田 2025年もしっかりと練習をしていましたが、その前の2024年がオリンピックに向けて熱を入れていた分、練習の時しか練習のことを考えない、僕からしたら何もしていないような1年間でした。

 世界選手権ではメダルこそ獲れませんでしたが、ケイリンで決勝も走りましたし、絶対王者とも対戦して、そんなに力の差はないな、もっと努力して追いこんでいけば手の届く存在だなと思いました。国内でもすごくいい成績が出たりしたので、前の年の上積みがあったおかげだったかなと思っています。

 2025年のテーマのひとつが、どこまでリラックスして競技に臨めるか、どれだけ楽しめるかでした。岡選手と違って、僕はオリンピックでメダルが獲れなくて、誰にも注目されていないような状態だったので、2025年はすごくリラックスして各大会に臨めました。そんななかで「競技ってやっぱり楽しいな」「自転車っていいな」と思いながら生活していたからこそ、成績が伸びていった感覚があります。

太田は先の世界選手権の男子ケイリンで4位となった(写真右端)太田は先の世界選手権の男子ケイリンで4位となった(写真右端)この記事に関連する写真を見る

 その感覚はとても大事だなと思います。僕もパリ大会は初めてのオリンピックでしたが、あの時はすごく楽しかったんですよ。リラックスして自然体で臨めていました。もう「何でも行ける」みたいな感覚で、やりたいことが本当に難なくできていたんですけど、この間の世界選手権は本当に楽しくなくて、体操を嫌いになるんじゃないかというくらい噛み合っていませんでした。パリの時ほどコンディションがよくはなく、体調不良もあって理想の演技からかけ離れていたため、なかなか気持ちも乗ってきませんでした。

「メダルを獲りたい」という気持ちを持っていましたが、「本当に獲れるのかな」という、自分を疑うような状態で、そういう邪念を持ちながら世界選手権に行っちゃったかなと思います。苦痛というか地獄を味わいましたね。だから太田選手が言うように、競技を楽しむという気持ちは大事にしたいですね。

先の世界選手権で個人総合5位となった岡。迷いの中での演技となってしまった photo by AFLO先の世界選手権で個人総合5位となった岡。迷いの中での演技となってしまった photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る太田 僕はオリンピックの時にそんな気持ちでした。初日のチームスプリントで思うような結果が出なくて、「まじできついわ」「明日オリンピックが終わってくれたらいいのに」と思っていました。せっかく出場できたのに、「もうオリンピックの舞台で走りたくない」みたいな気持ちになってしまって......。それじゃあメダルは獲れないですよ。楽しまないとやっぱりダメだなと思います。楽しめた時にだいたいいい成績がついてくることがわかってきましたね。

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