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選手団は船で入場! 「前例のない」パリオリンピック開会式でNHK伊藤慶太&中山果奈アナウンサーが伝えたいこと (2ページ目)

  • 牧野 豊●取材・文 text by Makino Yutaka

【今後の新しい方向性が示される大会に】

NHK パリオリンピック・パラリンピック2024の開閉会式中継キャスターの皆さん(前列左から伊藤アナ、中山アナ、池間昌人アナ、松本真季アナ、後列左から松野靖彦アナ、中川安奈アナ、瀬田宙大アナ) 写真提供/NHKNHK パリオリンピック・パラリンピック2024の開閉会式中継キャスターの皆さん(前列左から伊藤アナ、中山アナ、池間昌人アナ、松本真季アナ、後列左から松野靖彦アナ、中川安奈アナ、瀬田宙大アナ) 写真提供/NHK オリンピックの開会式は、開催国・開催都市の歴史や文化を反映した内容の演出が施されることが通例である。また、今回は「地球環境に配慮した持続可能な大会」にすることも大きなテーマとして掲げられている。

「フランスの演出家の方々のやり取りを聞いていると、自分たちにしかできない前例にないものを披露しようという意気込みを感じます。我々はその意図やメッセージをくみとって、ありのままを伝えることが一番大事だと思います。

 不安はありますけど、逆にプラスに考えれば、見たことのないものを観られるという、ワクワクした部分もあります。セーヌ川を舞台にどういう演出がなされるのか。それを楽しみにしながら準備しているところです」(伊藤アナ)

 開会式では、選手団を乗せる船数が90隻以上と報道されているが、参加国や地域は200以上。その情報だけでもどういう入場行進(遊覧?)となるのか。想像力が膨らんでいく。複数の国が相乗りするのか、これまでと異なる順番で入ってくるのか。いろんなパターンを想像しながら、目の前で起こる事象についての対応が求められてくるが、中山アナは、「伝える」職人としての基本は貫くつもりだ。

「現地にいる感覚と、視聴者の皆さんの感覚にズレがないように心がけたいと思います。現地にいると、どうしても高揚する部分があると思いますが、それが視聴者の方に"?"と思われることがないよう、バランスは気をつけて伝えられればと考えています」

 東京大会はパンデミック禍でのオリンピック開催だったため、無観客での実施となった。オリンピックに関するさまざまな問題が浮き彫りになるなか、今後のオリンピックを占ううえでも注目される大会になるのではないかと、伊藤アナは指摘する。

「今回のオリンピックは今後の新しい方向性が示される大会になると見ています。その辺りのメッセージがどのような形で開会式の演出に織り込められていくのか。サステナブルな大会と言われていますが、それが具体的な形としてどう出てくるのか。期待したいです」

 中山アナは「東京の時は、無観客で選手の方々もマスクをして、なかなか表情が捉えづらい部分がありましたが、今回は、その意味でも、どういう表情で臨むのか、楽しみです」と話したうえで、オリンピックで選手たちが発する言葉も楽しみにしている。

「今回、開会式で日本の旗手を務めるフェンシングの江村美咲選手が"結果にこだわるより、過程を大事にする方が自分は強い"とコメントしていたんですね。その言葉を自分の仕事にも当てはめて考えると、例えば、読み間違いをしたくないと思ってニュースを読むのではなく、"視聴者の人にわかりやすく伝えるにはどうしたらいいのか"という視点からアプローチしたほうが、結果として"わかりやすく伝える"ことにつながるのではないかと思ったりします。

 私自身は競技実況に携わりませんが、今回のオリンピックを経て、選手の皆さんがどのようなコメントを発するのか、楽しみにしています」

 開会式は日本時間7月27日(土)午前2時30分からスタートする予定。伊藤アナ、中山アナがどのような実況で、日本の視聴者に前例のない、新たな開会式を伝えてくれるのか。楽しみである。

著者プロフィール

  • 牧野 豊

    牧野 豊 (まきの・ゆたか)

    1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「Jr.バスケットボール・マガジン」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。229月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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