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ロコ・ソラーレの藤澤五月が「投げ直したい」と悔やむ北京五輪でのショット。「あの一投で勝敗が決まった」 (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

――最終戦ならではの緊張感があったのでしょうか。

「そうですね。でも、選手はみんな(世界カーリングツアーの)グランドスラムで戦っているメンバーなんですよね。グランドスラムの時はみんな、もっと笑顔でアイスにいるのに、(その時と)同じチームなのに、やっぱりオリンピック特有の雰囲気があるのかなとは感じました」

――そうした緊張感は、心地いいものなのでしょうか。それとも、プレッシャーが襲ってくるような怖さを感じるものなのでしょうか。

「というより、ハッとさせられるというか。ここにいる全員、カーリングがうまい人なのに、ここまでシリアスになるんだなと気づいたというか。

 そんなことを琴美ちゃんに話をしたら、『そうだよ。シリアスになりすぎても、もったいない。楽しんで』と言ってくれて。それで、ラクになりましたね」

――人に助けられたという意味では、JD(ジェームス・ダグラス・リンド)ナショナルコーチが準決勝のスイス代表戦を前に、藤澤選手の手の甲に「BE SATSUKI★ENJOY」と書いたというエピソードも話題になりました。

「ラウンドロビンの終盤で負けが続いてしまったりと、若干自信を失いつつあったんですよね。『誰かになりきったほうがいいのかな』とか考えたりもして。もともと私はジェニファー・ジョーンズさん(カナダ代表)に憧れていたので、『彼女ならどう振る舞うだろう』とかイメージしたり。

 そんなタイミングだったので、試合直前のミーティングのあとに、JDに『なんか書いて』とお願いしたら、『BE SATSUKI(五月らしく)』だったからちょっと驚きました」

――「誰かになりきる」みたいな話をJDコーチにしていたのですか。

「一切、していないんですよ。だから、『あれ? なんか(自分の心の中を)読まれてる!?』って驚きました」

――そうして"自分らしさ"を取り戻して、準決勝のスイス代表戦を快勝。続いて、日本カーリング史上初の五輪決勝に挑みました。結果は銀メダル。選手たちは皆、ファイナルへのアプローチ、準備や経験といったことを課題に挙げて話をしてくれました。

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