女子カーリングの盛り上がりから考える女性のスポーツ人口。体の変化、固定化された認識、勝利至上主義が減少の原因か? (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 廣瀬久哉●撮影 photo by Hirose Hisaya、JMPA

 また、大学受験に専念するために、スポーツはやらないと言う人もいるでしょう。高校の部活動に時間を取られてしまうとか、厳しすぎるという印象を持っている人がいると思いますが、その背景には、部活動に勝利至上主義的な感覚が強すぎることが考えられます。シンプルに言うと、スポーツを楽しめないんだと思います。

 勝利が絶対で、厳しい環境で試合に出ることが正解という世界のなかにいると、スポーツをやっている本来の意味を見いだせなくなりますよね。それに、部活に入ったら部員が多くて試合に出られない。リザーブだったとしても、チームワークを学べたり、組織力を学べたりすると言いますが、やっぱり出られないとつまらない。弱小の高校に行ったら、公式戦ですぐに負けてしまって試合がほとんどなくなってしまう。そんな現実もあります。

 私は部活動には、ふたつの柱があったほうがいいと思っています。ひとつはエリートスポーツの道、もうひとつがスポーツを楽しむコミュニティです。

 エリートスポーツを育てていく意義は、当事者だけではなく、社会的にも心理的にも効果があることがわかっています。トップレベルのアスリートが競技をすることによって、多くの人々に感動を与えることができますし、アスリート自身もいろんな方々のサポートを受けて成長していくことができます。

 そのエリートスポーツを育てるためには、スポーツをやる人口を増やしていかなければなりません。氷山の一角であるエリートになりうる原石は、そのなかから生まれてくるからです。勝利至上主義ばかりに焦点があたってしまうと、競技のすそ野は広がっていきません。

部活動のあり方の改善を訴える元競泳選手の伊藤華英さん部活動のあり方の改善を訴える元競泳選手の伊藤華英さんこの記事に関連する写真を見る そのために大切なのが、スポーツを楽しむコミュニティとしての部活。勝利至上主義から脱却し、スポーツの楽しさを実感できる場所です。ふだんの生活で、もう少し軽やかに動きたいなど、自分のやりたい物事がうまくいくような体づくりができるところがあるといいと思います。

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