藤澤五月の苦しむ姿を見て日本のライバルからエール。カーリング女子日本代表の本領はこれから発揮される (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

「(北京五輪の会場は)日替わりで曲がったり、曲がらなかったりするうえ、時間帯でも本当に変化の多いアイスですね。一投ごと、それを見極めるのは大変だと思います。

 特にラウンドロビン最終戦のスイス戦は、テイクを投げると曲がらないのに、ウエイトを落とすとどこでブレイク(曲がり始め)が発生するかもわかりにくかったように見えました」

 藤澤の苦しむ姿を見つつ、今大会のアイスの難しさについてそう語ったのは、フォルティウスのスキップ・吉村紗也香だ。昨年2月の日本選手権ではロコ・ソラーレを下して頂点に立ち、9月の日本代表決定戦でもロコ・ソラーレを最後まで苦しめたライバルである。

 それでも今大会、ラウンドロビンのショット率において、スキップで80%を超えたのは藤澤だけ。出場全10カ国のスキップのなかでトップの数字を残している。吉村はそんな藤澤のパフォーマスを称え、クオリファイへ向けてのエールを送る。

「難しいアイスなので、確かにスイス戦ではミスが出てしまいました。大事なところで決めきれなかった悔しさは、どうしても引きずったり、残ったりしてしまうもの。同じスキップとして、気持ちはよくわかります。たぶん、私も落ち込むと思います。

 でも、最終戦はスイスのショットがよかったにすぎません。クオリファイからはまた、ドローやヒットステイなどのシンプルなショットに集中して(狙った位置に)石を置いていくだけ。

 むしろこの難しいアイスで、ショット率1位というのは本当にすごいこと。それを誇ってほしいし、落ち込む必要はないと思います」

 五輪後には、吉村率いるフォルティウスと藤澤率いるロコ・ソラーレは5月の日本選手権で対戦予定。吉村はそこで、五輪帰りの藤澤と投げ合いができることを待ち望んでいる。

「稚内での日本選手権や五輪トライアルの時のように、最後の一投までどちらが勝つかわからない、見ている人も、やっている私たちもハラハラドキドキするような試合を(ロコ・ソラーレと)またできるのを楽しみしています。

(決勝トーナメントの)あと2試合、さっちゃん(藤澤)らしく、これまで培ってきたものを全部出しきって、帰ってきてほしいですね」

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