北京五輪のメダル最有力候補。スノーボード・ハーフパイプの戸塚優斗は「普段どおりに臨めば金」 (3ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【フィジカルを鍛えてさらに進化】

 あれから1年。戸塚はさらなる進化を遂げている。例年ならオフシーズンの夏場からは南半球で技を磨くところだが、コロナ禍でそれができなかったため、フィジカルを重点的に鍛えてきた。

「トリックを5発、6発やるなかで着地やジャンプの瞬間のインパクトで力を出すためにトレーニングをしてきました。あと、悪いクセがあるんですけど、飛ぶのが一度だけならいつでも直せるんですね。だけど、何度も飛んでいるとクセにまで気は回らなくて。だから、悪いクセが出ても、そこもカバーできるようにって感じですね」

今シーズンは、12月の大会で優勝を果たしている photo by Getty Images今シーズンは、12月の大会で優勝を果たしている photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 平昌五輪後のハーフパイプ界は、戸塚の台頭によって高難度化が加速している。戸塚自身は北京五輪でのルーティーンについては次のように考えている。

「X Gamesでやった右からのキャブフォーティーを左インから決めたいですね。でも、それ以外にもやりたい技がけっこうあるんですよ。ただ、ひとつひとつの技は単発なら決まるんですけど、それをつなげていくのが難しくて。イヤになるくらい回転しなきゃいけないから、意味がわからなくなるし(笑)。『次はどっちだっけ? 次はこっちか』って感じで(笑)。ルーティーンにどの技を入れるかは、五輪前のシーズンで調子を見て考えながら最終的なのを決めたいですね」

 五輪直前のシーズンは、2021年12月9日のW杯第1戦で幕明けした。戸塚は12月19日のアメリカ・コロラド州で行なわれた招待大会で、今季初優勝を果たしている。

 そして1月21日から23日までのアメリカでのX GAMESなどを経て北京五輪に突入する。オリンピック・ハーフパイプ4大会で金メダル3度獲得の35歳ショーン・ホワイトや、東京五輪スケートボードに出場して史上5人目となる夏冬での五輪出場を果たした平野歩夢も北京五輪に意欲を燃やしている。

 しかし、彼らが東京五輪を目指してハーフパイプから離れていた3年間で、競技レベルは格段に進化を遂げた。そして、それを強力に推し進めた戸塚が、超高難度トリックを連発で決めれば、表彰台の中央に立つことになるはずだ。

戸塚優斗
とつか・ゆうと/ヨネックス所属。2001年9月27日生まれ。神奈川県出身。169cm。光明学園相模原高から日本体育大に進み、現在2年生。母親の影響で2歳でスノーボードを初めて体験し、小学3年頃からハーフパイプを始める。趣味はスケートボードと、「乗るために目的地をつくっている」という大型バイク。この取材現場にも自慢の愛車で颯爽と現れた。

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