レジェンド中野浩一を超える選手になれるか。生粋の自転車エリートが競輪選手として世界一の夢へスタート (4ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu、石川高央●撮影 photo by Ishikawa Takao

「自分はスピードと持久力を生かし、早めに前に出てそのまま逃げ切る『先行』というスタイルで勝負していきます。それだと圧倒的な力を示せると思うんです。僕は速いだけでなく、強い選手になることが目標ですが、世界で戦うにはまだ力が足りません。世界とのトップスピードの差を埋めるためには、持ち味である大きなギアを踏むフィジカルをさらに鍛えていく必要がありますし、戦術的な部分ももっと学ばなければなりません」

 その意味で中野は、競輪が最高の場と考えている。

「競輪選手になればアマチュア時代よりレースが多くなりますので、相手のスピードや動きを感じ取って対応する技術を学んでいきます。プロの世界は厳しいですが、そこで勝利しながら、世界一を目指していければと思っています」

 競輪の世界で『中野』と言えば、かつて世界選手権10連覇を成し遂げたレジェンド中野浩一をイメージする人が多いだろう。中野慎詞は同じ苗字ということから、高校時代から『中野2世』と期待をかけられてきた。彼もそこは意識している。

「中野浩一さんの名に恥じぬよう、そして中野さんのような偉大な競輪選手になれるように頑張りたいです」

 2022年1月1日に競輪デビューを果たす中野。彼が目指す世界一へのストーリーにはどんなワクワクが待っているのだろうか。まずはその1ページ目をしっかりと記憶したい。

【Profile】
中野慎詞(なかの・しんじ)
1999年6月8日生まれ、岩手県出身。早稲田大学在学中。高校時代から自転車競技をはじめ、高校3年時には、国体少年男子スプリントで優勝(大会新記録)、高校総体個人1kmタイムトライアルで優勝、アジアジュニア自転車選手権大会個人スプリント2位など数々の実績を残す。大学進学後も全日本トラックのケイリンで2位、全日本大学自転車競技大会スプリント1位と好成績を残し、強化指定選手にも選出。2021年に日本競輪選手養成所に入所。同年末に早期卒業を果たす。

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