女子体操・村上茉愛がSNSの誹謗中傷問題で思ったこと。「うまく伝わらないのであれば、 本当に思っていることは発信できない」 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by JMPA

 村上のスタイルとして象徴的なのがショートへアである。

「大学3年の時に髪の毛を伸ばしてポニーテールにしたんですけど、体育館にいても誰だかわからないと言われて(苦笑)。ショートといえば村上で、それで見つけてもらっていたので、そういう印象をしっかりつけることも大事だなと思います。最近は、小さな子からも『村上選手を見て、ショートにしました』というお手紙をもらう機会が増えたので、定着してきているのかなと思いますね」

 個性と豊富な練習量が噛み合い、手にした5年越しのメダルの味は、格別だった。

「やっぱり五輪は他の大会のメダルと違います。世界選手権でメダルを獲ってもメダリストと胸を張って言えるのは、五輪だけですし、リオの時に4位で3位との差の大きさを経験しています。その違いを実感したからこそ銅メダルでもすごくうれしいなと思っています」

 東京五輪は、村上選手にとって、どういう大会だったのだろうか。

「最初は五輪が開催されるかどうか不安でしたし、言い続けていれば叶うとか、努力が叶うとか本当なのかなって思っていたんです。今回、それを身をもって経験できたので、諦めないでよかったと思える大会でした」

 村上は、東京五輪での銅メダルを胸に世界選手権に臨むことになる。自身の去就については、まだ明言していないが、どういう大会になるのだろう。

「日本で、五輪が開催されたあと、すぐに世界選手権が開催されることは普通ありえないことだと思うんです。東京五輪では無観客だったので、世界選手権ではできるだけ多くの人に見てほしいですね。個人的な思いとしては、東京五輪までは、自分のために、メダルのために体操をしてきました。今回は、人のために体操をしたいなって思っています。みんなに感動してもらえる演技ができるように、頑張りたいです」

 世界選手権には、尊敬してやまない内村航平も出場する。

「航平さんに褒めてもらえるとすごくうれしいので、結果を出したいですね」

 内村がそうだったように、「村上選手になりたい」と目指してもらえる選手になるために、北九州では「ゴムまり娘」(村上選手の愛称)としてはじけた演技を見せてくれるはずだ。

FMヨコハマ『日立システムズエンジニアリングサービス LANDMARK SPORTS HEROES

毎週日曜日 15:30〜16:00

スポーツジャーナリスト・佐藤俊とモリタニブンペイが、毎回、旬なアスリートにインタビューするスポーツドキュメンタリー。
強みは機動力と取材力。長年、野球、サッカー、バスケットボール、陸上、水泳、卓球など幅広く取材を続けてきた二人のノウハウと人脈を生かし、スポーツの本質に迫ります。
ケガや挫折、さまざまな苦難をものともせず挑戦を続け、夢を追い続けるスポーツヒーローの姿を通じて、リスナーの皆さんに元気と勇気をお届けします。

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