「水の呼吸」を意識する羽根田卓也。何があってもブレずに高みへ突き進む (2ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


 リオからここまでは決して順風満帆な歩みではなかった。2017年の世界選手権での7位のあとは、ワールドカップでは決勝に進めない大会もあった。その時期は果たして必要なプロセスだったのか、それとも何かの歯車が狂ったのだろうか。羽根田は成績が振るわない事実を認めつつも、淡々とした口調で話し始めた。

「両方だと思います。成績が出ない時期はうまくいっていないことが必ずありますし、精神的にも苦しいことは間違いありません。ただ成長するうえで大切な糧を得られる時だとも考えています。

 重要なのは一回の結果に一喜一憂することなく、常に前を向いて、目標を定めて進んでいくこと。結果が出ないときでも東京五輪を見据えて、必要なことに取り組みながらここまでやってきました」

 4年前とは羽根田を取り巻く環境も大きく変わった。その存在は国民の多くが知るところとなり、カヌースラロームという競技の認知も大きく上がっている。前回大会以上の結果を求められる重圧もあるだろう。

「4年前との一番の違いはやはり応援してくれる方が増えたことです。それは本当にありがたいと感じていて、応援の声や気持ちを自分のエネルギーに変えたいと思っています。

 またプレッシャーをかけられることは幸せなことです。そのプレッシャーが足かせになるのか、エネルギーになるのか。それはこれまでの自分の取り組みやトレーニング、そしてこれからの準備の仕方によって変わります。ここまでは順調ですので、これからもその意識を持って頑張りたいと思っています」

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