なぜバド日本女子ダブルスは強いのか。オグシオからフクヒロ、次世代へ (4ページ目)

  • 平野貴也●取材・文 text by Hirano Takaya
  • photo by AFLO

 五輪レースの先頭を走る福島/廣田に比べると、課題は安定感だ。しかし、昨年は世界選手権で2連覇を達成。世界でも珍しい170センチ超の長身ペアでポテンシャルは高い。高橋/松友が健在な時期に、このふたりが出てきたことで日本の競争は激化した。身近にいる五輪金メダリストとの勝負に勝たなければ、自身の夢である東京五輪に近付けないという境遇は、間違いなく切磋琢磨のレベルを引き上げた。

 今回、松本/永原に敗れたのは、今年初めて日本A代表に加わった志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)。2024年のパリ五輪を目指す若いペアだ。1月の国際大会では、世界ランク1位の中国ペアに1勝1敗と早くも上位に噛みつき、存在感を示した。

 松本/永原戦でも、可能性は十分に見せた。持ち前のスピーディーなラリーで勢いよく1ゲーム目を先取。2ゲーム目も18オールと拮抗した戦いだったが、そこから3連続失点でファイナルゲームに持ち込まれ、最後は17-21と競り負けた。

 五輪レースの重要な大会で壁を越えたかった気持ちが強く、松山は「個人的な収穫は、なし。自分のヘアピン(の甘さ)や後ろからの球のバリエーションがなく、相手のミスを待つ形になってしまいました」と悔しさを滲ませた。

 すでに世界ランク12位の力を持つが、志田は「ほかの選手に比べてミスが多いし、上の人たちの球(シャトル)に慣れるので精一杯。(意図的に)打たされたり、(上体を)あおられたり、バラバラになることが多い。基礎を見直さないといけない」とA代表の合宿でトップレベルへの課題を突きつけられ、強い刺激を受けている現状を明かした。

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