白鵬が明かしたケガへの不安と横綱としての覚悟「若手力士の壁になる」 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 敗戦、休場は、かなりショックでした。ただ、年齢を重ねるということは、こういうことなのかもしれません。思わぬケガや、予期せぬことが起こりやすいというか......。

 そうしたこともあって、私は昨年から新しい治療法にチャレンジしてきました。春場所(3月場所)で上腕筋を痛めた時もそうでしたが、「再生治療」と言って、自分の血液を採取して、それを痛めた部分に注入する治療を行なっています。

 それが、私の体には合っているようで、上腕筋を痛めた時は「もう治らないかもしれない......」と思って落ち込んでいましたが、その治療によって完治。新たなチャレンジは、吉と出ました。

 おかげで、右手小指の骨折も早々に回復し、私は9月末には九州場所(11月場所)に向けて再始動。いつまでも休んでばかりはいられませんからね。

 そうして、10月の秋巡業は皆勤。各地でいろいろな人たちと触れ合うことができ、多くのファンから生の声を聞かせてもらって、大いに刺激を受けました。とても楽しく、充実した時間を過ごすことができて、休場続きの私にも、ファンの方々は温かい声援を送ってくださいました。そんなファンのためにも、九州場所では絶対に優勝しなければいけない、と気持ちを新たにしました。

 また、2018年の九州場所、私は全休でした。九州のファンのみなさんにお会いするのは2年ぶり、ということもあって、余計に気合が入っていましたね。

 その結果、九州場所では2日目に黒星を喫したものの、以降は順調に白星を重ねて、14日目に優勝を決めることができました。

「手術して、病院のベッドにいる頃には、もうこういう場に立てないんじゃないかと不安でした。(だから、優勝できて)最高です!」

 優勝インタビューで、私はそう語りました。令和元年の締めの場所で、最高の形で復活することができて、本当に胸がいっぱいでした。

 さらに、横綱土俵入りを務めている2人の弟子、炎鵬(8勝7敗)と石浦(9勝6敗)もそろって勝ち越し。千秋楽の夜は、久しぶりに美味しいお酒を飲むことができました。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る