錣山親方が驚愕。九州場所の本命は、
34歳にして体の厚みが増した白鵬

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

元寺尾・錣山親方の『鉄人』解説
~2019年九州場所編

元関脇・寺尾こと錣山(しころやま)親方が、本場所の見どころや話題の力士について分析する隔月連載。今回は、11月10日から始まった九州場所(11月場所)における優勝争いを検証してもらいつつ、話題の若手力士についても語ってもらった――。

 11月10日から、大相撲九州場所(11月場所)が始まりました。

「一年納めの九州場所」と言われるように、1年間に6場所ある本場所の最後を締めくくる九州場所は、力士にとっても大事な場所。場所前は、一門の枠を越えて出稽古に励む力士もたくさんいて、各々が精力的に稽古をこなしていたようです。

場所前、最も「やる気」が感じられたという白鵬場所前、最も「やる気」が感じられたという白鵬 そのなかで、最も"やる気"が感じられたのが、優勝42回を誇る第一人者の横綱・白鵬です。先場所の秋場所(9月場所)は、2日目から途中休場となりましたが、10月の秋巡業から"現場復帰"。福岡入りしてからは、今場所対戦予定の小結・阿炎を自身の宮城野部屋に呼んだり、苦手意識のある小結・北勝富士との稽古を求めて尾車部屋まで出向いたりと、大いに体を動かしていました。

 そうした稽古が功を奏したのか、34歳にして、体に厚みが出てきていることには、驚かされましたね。初日に北勝富士を倒したあと、2日目には大栄翔に苦杯をなめましたが、力的には"ひとり抜けている"印象があります。9月に日本国籍を取得したということも、白鵬の意欲を掻き立てる材料になっているのでしょう。

 今年の優勝は、春場所(3月場所)の1回のみ。「最後の場所を優勝で締めくくりたい」という思いは、相当強いのではないでしょうか。

 次に注目されるのは、大関・貴景勝です。夏場所(5月場所)、名古屋場所(7月場所)と2場所連続休場。それによって、大関から関脇に陥落しましたが、秋場所で見事に12勝を挙げて大関復帰を果たしました。

 その先場所、休場の原因となったヒザの負傷がどこまで回復しているのか心配されましたが、きっちり仕上げてきましたね。それも、12日目には2敗で単独トップに躍り出て、千秋楽には御嶽海と優勝決定戦を演じるほどの奮闘を見せたのですから、驚きです。

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