東京五輪の切符は男女残り1枠。リードW杯で見えた代表候補の現在地
「来年はコンバインドも視野に入れたいですが、ぶっちゃけコンバインドは苦手なので、リードをメインにもっと強くなって、常にW杯で表彰台に乗れるようになっていきたいです」
今季のW杯シーズンの締めくくりとなったW杯リード印西(いんざい)大会が10月26日・27日に千葉で開催され、男子は清水裕登が日本男子歴代5人目のW杯リード優勝者となった。今季は第3戦のフランス・ブリアンソン大会で2位にもなったリードのスペシャリストは、この優勝がシニア大会では国内外含めて初タイトル。そんなこともあってか、優勝インタビューでは緊張した面持ちで冒頭のコメントを残した。
W杯リード印西大会で9位に食い込んだ楢崎明智 本人がリード種目へのこだわりを口にし、メディアも23歳の快挙を「五輪代表争いに名乗り!」と報じないのは、周知のとおり、東京五輪の実施種目がリードのほかにボルダリングとスピードを合わせた3種目複合のコンバインドで争われるからだ。
その東京五輪に出場できるのは、世界中で男女それぞれ20選手。今夏に行なわれた世界選手権コンバインドで各7選手が五輪出場権を獲得し、次の五輪出場6選手が決まる「五輪予選」が、11月28日から12月1日かけてフランス・トゥールーズで開催される。
この予選には、今季のW杯ボルダリング2大会、W杯スピード2大会、W杯リード2大会で残した成績から算出するW杯オーバーオール・ランキング20位以内の選手が出場できる。W杯最終戦の印西大会の結果を受けて、日本からは男子は楢崎明智(めいち)と藤井快(こころ)、女子は森秋彩(もり・あい)と伊藤ふたばの出場が決まった。
※五輪予選は1カ国男女各2名まで出場可能。ランキング20位以内の世界選手権での五輪出場権獲得選手は除外。
ただし日本の場合は、この大会で6位以内になっても五輪代表には決まらない。この大会で6位以内になると、来年5月に予定されているコンバインド・ジャパンカップで、世界選手権で日本勢2番手の成績を残した男子=原田海(かい)、女子=野中生萌(みほう)と、残る1枠の五輪代表の座をかけた直接対決に進むことができる。
五輪代表になるために、まず五輪予選で6位以内が必須の4選手にとっては、このW杯リード印西大会は1カ月後に向けてそれぞれの現在地を再確認する場にもなった。
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