日本男子スピードスケートの進化に、新濱立也の「鈍感力」が必要だ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫●写真 photo by Fujita Takao

 しかし、その2組あと、アウトスタートだったパベル・クリズニコフ(ロシア)が33秒61とすぐに記録を塗り替えた。新濱が世界記録保持者でいた時間は、約2分間で終わった。

「自己新を出したインツェル大会は、トライアルのような試合だったので、正直今大会でどれだけ出せるかというのもわからなかったし、33秒台の世界というのも想像できませんでした。

 日本記録の34秒21も6年間破られていなかったので、正直それを破れればいいかなと思っていたけど、まさか自分が33秒台を出せるとは思ってなかった。33秒83はうれしかったけど、世界記録を出してもすぐに更新されたので勝ち切ったとは言えない。これからさらに上を目指してもう1回世界記録更新を目標に頑張っていきたい」

 昨年10月、全日本距離別選手権500mで34秒76の自己新を出して優勝し、初のW杯代表に選ばれた新濱は、その後、一気に成長した。

 W杯では、屋外リンクだった第2戦の苫小牧で連勝し、ファイナル前の500m総合順位は2位。2月の世界距離別選手権は500m、1000mともに16位と結果を残せなかったが、500mと1000mを2本ずつ滑る世界スプリントでは、500mの初日が1位で2日目は2位。1000mはともに5位で総合2位と、初出場で大きな成果を出した。そして、そのままソルトレークシティに移動にして、この大会へ向けて備えていた。

 2日目に行なわれる500m第2レース、レーンは、ドローで決める事情もあり、新濱はまたしてもインスタートになってしまった。

 アウトレーンには、W杯種目別ランキング3位のホーバル・ロレンセン(ノルウェー)。

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