高梨沙羅がタラタラ改善で表彰台ゲット。暗中模索のなか蔵王で得た光 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Atsushi Tomura/Getty Images

 好条件の中で行なわれた19日の団体戦では、17年12月のドイツ・ヒンターツァルテンと18年の蔵王に続く、日本のW杯団体3連覇を逃す3位に止まったが、個人の成績としてはルンビをわずかに抑えてアルトハウスに次ぐ2位の得点を獲得し、確実に表彰台を狙える圏内に力が戻ってきていることを証明した。

 そして最終日の個人戦は6位だったものの、「コーチのスタート合図は見えないし聞こえないことを最初から覚悟して、自分のタイミングでスタートをした」という2本目は助走速度もライバルたちに負けることなく、飛距離を伸ばした。

「助走のレールには雪が積もっていてRの手前にはコブがあるような状態でしたが、アプローチを変えたおかげで、そのコブを乗り越えられたと思います。この大会で自分が探していたものを一つ見つけられたかなと思うので、それを大切に自分のものにして今度はその先につなげていければいいかなと思います」

 昨季は平昌五輪で金メダルを逃したあと、ずっと勝利がなかったW杯の最終戦で2勝して通算勝利数を55まで伸ばした。一方でヨーロッパ勢が急成長してきた中で、自分がもっと強くならなければいけないことを強く感じた。だからこそ今季の高梨は、挑戦のシーズンと位置づけているのだ。以前のいい状態に戻すだけでは表彰台には届いても勝つことはできないという思いがあるからこそ、様々な試みをしている。

 試行錯誤のなかで先が少し見えてきた今回の結果。このあと試合が続くヨーロッパは、蔵王と同じく助走路の傾斜が緩やかなジャンプ台が多いだけに、ここでいい感触を得られたのは高梨にとって大きな収穫だった。この自信をこれから結果につなげられるか、注目したい。

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