「氷上のビーナス」は体重減で引退を実感。スマイルジャパン、エースの16年 (2ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao 五十嵐和博●撮影 photo by Igarashi Kazuhiro

「最終的に決めたのは、シーズンが終わり、オフに入ってからです。ソチのときもやめようかなという思いがあったのですが、いざ初めての五輪を経験したら、次も絶対やりたいという気持ちが強く湧いてきた。平昌に行く前は、これが最後という思いはありましたが、実際そのときにどんな思いになるかはわからないと思って、すべて終わってからゆっくり考えようと思っていたんです。正直、平昌が終わったばかりの頃は、もっとやりたい気持ちもあったんです。でも、年齢や今後の人生のことなど長い目で考えると、いまがベストかなと......」

――例年なら6月から新シーズンが始まります。そろそろ引退したことを実感している頃ではないですか。

「そうですね。最初はただのオフみたいな感じだったのですが、最近はやっぱり筋肉も落ちてきて、周りの人からも『痩せたでしょ?』なんて言われることも多く、やめたんだって感じています。実際に体重を計ったら、結構減っていました(笑)。

 いままでは合宿や遠征がないときは、週5日仕事して、週6日は練習。基本は8時から17時45分までフルタイムで働き、毎日仕事が終わると大急ぎで家に戻って、着替えて防具を持って練習に行くという日々だったので、仕事が終わって『もう急がなくていいんだ』『もう走らなくていいんだ』って、ホッとしています」

――アイスホッケーロスというか、寂しさを感じることはないですか。

「たまに目標がなくなった寂しさを感じることはあります。いままではアイスホッケーしかやってこなかったというか、ほかに何かを考える暇もなかったので。今後何ができるかは、ゆっくり考えたいと思っています」

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