驚きのW杯総合1位。小林潤志郎が「葛西頼み」の男子ジャンプを変えた (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 その厳しい条件下で潤志郎は「クラフトとストッフがダメだったので、風も悪いんだなと思ったし、実際に僕の時もあまりよくなかったみたいでしたが、その中でも自分のジャンプはきっちりできたかなと思います」と、137mを飛んで7位につける。トップに立ったヤルネ・ダミアン(スロベニア)と5.9点差、3位のダニエル・タンデ(ノルウェー)とは4点差と、優勝の可能性を残した。

 2本目は「自分のジャンプがちゃんとできれば悪い風でも飛べると思っていましたが、2本目は力みが完全に勝って自分を制御できないジャンプになってしまった」と、全体12位の134.5mで総合10位と順位を落としてしまった。それでも前回2位のストッフと3位だったクラフトが13位と20位に沈んだため、総合1位のイエロービブを維持した。

 長いシーズンを戦って総合で上位に食い込むために重要なのは、常にトップテン入りをしておくこと。潤志郎も「10位以内に入っておけばいいかなと思っていたので、最低のラインはクリアできてよかった」と笑顔を見せたように、前回の優勝が決してフロックではなかったことを証明した。

「表彰台に上がれる位置にいたので悔しさはありますが、結果的にはいい順位かなと思います。 来週のロシア大会には出ないので、次にW杯に出る時はイエロービブを着れていないと思いますが、シーズンはまだ続くのでどこかでまた勝てるようにしたいです」

 このラージヒル本戦に、日本勢は2名のみの出場となったが、ヴィスワ大会で予選落ちしていた竹内が調子を取り戻して15位になった。また、予選落ちした弟の陵侑や葛西も前日の団体戦ではいいジャンプを見せている。2戦目でさらに自信をつけた潤志郎が、このあともムードメーカーとして、日本チームに刺激を与え続けそうだ。

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