筋肉が腫れ上がってからが勝負。クライミング野口啓代がW杯最終戦へ (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ボルダリングWCは8月で全戦を終えたが、野口はその後も精力的に活動を続けてきた。9月中旬はドイツ・シュツットガルトでのボルダリング賞金コンペ『アディダス・ロックスターズ』の参戦から、中1日でイラン・テヘランに移動してアジア選手権に臨んだ。10月からはリードWCに出場し、中国・呉江大会で4位、中国・廈門大会で6位の成績を残している。

「ボルダリングWCのシーズン中は、リードの練習を全然やっていないんです。ボルダリングの練習やフィジカルトレーニングだけで手一杯なので。今年は7月にワールドゲームズとアジア選手権でリード種目に出ましたが、ぶっつけ本番でした。9月末に日本に戻ってきてからも、リードで重要な持久力を高めるトレーニングをする時間はなかった。だから、リードWCでもボルダリングで培ってきた突破力で高度を伸ばしていくには、壁に高さがないクラーニがいまの私の力を発揮しやすい大会だと思っています」

 リード種目で使用する人工壁は高さ12m以上で、ルート(課題)の長さは最低でも15m・幅3mと決まっている。人工壁の高さは国ごとに異なり、中国での2大会のように16m超の人工壁で競う大会もあれば、クラーニ大会のように国際規定をわずかにクリアする人工壁で行なわれる大会もある。

 人工壁に高さがある場合、ルートは持久力を問うものになり、高さがない場合はムーブの難易度が勝負のアヤになる傾向が強い。野口はボルダリングで磨いたムーブ力で、クラーニ大会は2014年3位、2016年2位と2度表彰台に立っている。

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