アクロバット相撲の宇良は、実は4歳から押し相撲を磨く正統派だった (3ページ目)

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 前述の菊池氏は、「アクロバティックとか言われていますけど、押す力がなければ幕内では通用しません。これまで地道に積み重ねた稽古が、今の成績に表れているのだと思います」と、徹底してきた基本が出世の礎(いしずえ)になっていることを明言する。

 今では、対戦するどの力士も「前に出る力が相当ある」と口を揃えるほどの"圧力"を身につけた宇良。体重は新弟子検査時の113kgから今は137kgまで増えている。「幕内で戦うには、一定の体重が必要」と自ら考え、140kgを目標に増量に取り組んできたが、その分、持ち味のスピードとキレがなくなることも懸念された。

 しかし、菊池氏は「幼い時から体が小さいことで悩んでいて、ずっと体重を増やす努力を続けてきたんです。大学時代は、『ご飯を1日1升食べていた』とも聞いています。それでも動きの質はまったく落ちていませんし、問題はないと思います」と、周囲の不安を一蹴。田中氏も「稽古を重ねることで体が大きくなっているわけですから、心配はいらないですよ。自分でしっかり考えながら体重を増やしていますしね」と断言する。

 現在、幕内力士の平均身長と体重は180cm・160kgを超え、大型化が進んでいる。ほとんどの関取が同じような体格の力士と稽古を重ねる中、173cmの宇良と対戦した誰もが「やりづらい」と漏らす。相手の懐へもぐり込むことができる"身長の低さ"がむしろ武器になっているのだが、そのベースにあるのはやはり前へ攻める姿勢だ。

 たとえ体が小さくても、努力を重ねれば出世の道が開ける。新弟子不足で悩む角界の未来をも照らす宇良の相撲が、名古屋場所で旋風を巻き起こすことを期待したい。

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