スピードスケート女子に期待の星。押切美沙紀が見せた大器の片鱗 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫●写真 photo by Fujita Takao

 その後の2014-15シーズンの距離別選手権は1500m5位、3000m6位と足踏みをしてしまう。W杯は前半の4戦に出て第1戦と第2戦ではポイントを獲得したものの、第3戦と第4戦は格下のディビジョンBでも9位以内に入れず、年が明けてからは遠征メンバーから外されていた。

 だが今季は、ナショナルチームの男女中・長距離のヘッドコーチにオランダ人のヨハン・デヴィットが就任し、オランダ流の練習になった中で意識が変わり、それまでは他の選手より距離を短くしていた自転車トレーニングも同じ距離をやるようになるなど、持久力にも自信をつけてきた。

 その成果が今大会2日目の3000mでも出た。1500mとは違い、同走の選手とは力の差があって自分でレースを作らなければいけない組み合わせ。

「これまでそういうレースでいいタイムが出たことがなかったので不安だった」という状況だった。それでも最初の300mを19秒87のハイペースで入り、そのまま粘ってラスト1周まで33秒台のラップを維持し、昨年の同大会より6秒以上速い4分10秒64でゴール。菊池と高木菜那(日本電産サンキョー)には上回られたが、2位の高木まで0秒01という僅差の3位になったのだ。

「コーチには加速できるように入れと言われていたし、最初は19秒台もあまり力を使わずに入れたのは良かった。それまでの自己ベストはソチ五輪代表選考会で、3位になった4分12秒30だったので...。自分が苦手とするレース条件で自己記録を出せたのは、今後への自信になります」と笑顔を見せる。

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