【レスリング】吉田沙保里の夏合宿「着いた瞬間から帰りたい」

  • 宮崎俊哉●構成 text by Miyazaki Toshiya  喜 安●撮影 photo by Kiyasu

7月特集 ああ、涙の夏合宿物語(3)

 リオデジャネイロ・オリンピックで五輪4連覇を目指すレスリング女子53キロ級の吉田沙保里。20歳で初めて世界チャンピオン(2002年世界選手権・金メダル)となり、32歳になった現在もトップに君臨する彼女の強靭な肉体は、夏合宿での過酷なトレーニングで作られたという。はたして、女子レスリング最強女子を生んだ夏合宿の内容とは――。

夏合宿での厳しいメニューを振り返る吉田沙保里夏合宿での厳しいメニューを振り返る吉田沙保里――吉田選手にとって、夏合宿といえば?

吉田沙保里(以下:吉田) 新潟県十日町市にある、櫻花(おうか)レスリング道場での全日本合宿です。

――「女子レスリング・虎の穴」と呼ばれている合宿所ですね。

吉田 高校時代、私が通っていた久居高では夏合宿なんてありませんでした。また、中京女子大(現・至学館大)のときも、ほとんどの選手が大会で上位に入って全日本合宿に呼ばれていたので、大学として合宿をすることもありませんでしたから。

――初めてシニアの代表合宿に参加したのはいつですか?

吉田 高校1年生のときですね。中京女子大の附属高の選手もいたと思いますが、1年生は私ぐらい。もう、ドキドキでした。父(故・吉田栄勝さん)から、「行ってこい! 鍛えてもらってこい!」とだけ言われて。初めて会った中女(中京女子大附属高の略)の先輩たちと一緒にクルマで行ったんですけど、高速を降りてから曲がりくねった山道を走っても、走っても着かず......。

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