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【月刊・白鵬】横綱が語る。照ノ富士と逸ノ城との「違い」 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 今回の稽古総見は、年に一度の一般公開日でした。早朝からたくさんのファンが詰め掛け、おかげで会場は熱気にあふれていました。

 そんな中で始まった稽古総見。稽古は幕下上位、十両、幕内の順に稽古が行なわれ、たくさんの力士がいる中で、土俵上で相撲を取るのはふたりだけです。そして、申し合いの場合、勝った力士が、土俵下で待つ次の稽古相手を指名するという形になります。その際、土俵下で待つ力士たちは、勝った力士に自分を"買って(指名して)もらう"ため、積極的にアピールします。

 私は、土俵下のやや離れた場所で準備運動しながら、幕内上位の力士たちの稽古をつぶさに見ていました。そこで、意欲的だったのが、照ノ富士です。土俵上で常に稽古を重ねていました。思えば、照ノ富士に限らず、横綱・日馬富士など、伊勢ヶ濱部屋の力士の誰かしらが土俵上いる、という状況がずっと続いていましたね。

 一方、今ひとつ覇気がなかったのが、逸ノ城でした。そこで、土俵に上がった私は、あえて稽古相手に逸ノ城を指名し、土俵上に引っ張り上げたのです。

 体重が200kg台にまで増加した逸ノ城。立ち合いで彼の体を受け止めると、確かに以前にも増して重く感じました。が、何かが足りませんでした。

 そのため、申し合い稽古にもかかわらず、私が逸ノ城に胸を貸して、ぶつかり稽古を始めました。すると、土俵に転がされた逸ノ城は、なかなか起き上がってこられませんでした。本来であれば、「もう一丁、お願いします!」といって、すぐに私の胸にぶつかってこなければいけないのに、そんなことさえ、ままならなかったのです。

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