【大相撲】打倒白鵬に燃える稀勢の里、豪栄道の秘策とは? (4ページ目)

  • 福留崇広●文 text by Fukutome Takahiro
  • photo by Kyodo News

 小学1年から相撲を始め、わんぱく横綱に輝き、埼玉栄高時代には高校横綱に就いた豪栄道は、他の多くの力士も認めるように相撲の天才。プライベート時間でも、昔の名力士のビデオを見るのが趣味で、技への研究と分析には長(た)けている。そんな明晰な頭脳を持つ男だからこそ、相手の取り口に合わせた攻め手を数多く見つけてしまうのだ。

「相手を気にせず自分の攻めに徹すること。そこに行き着かないとダメなんです」と繰り返しつぶやいた。

 苦しい状況を打破するために、稽古での申し合いも工夫している。「あえて相手に攻めさせて、自分にとって苦しい状況を作るようにしています」と打ち明けた。稽古場からこれまで以上に本場所での相撲を考えた状況を敢えて作り出し、そこからいかに攻めるかを体に染みこませているというのだ。幸い境川部屋には、低い立ち合いが特徴の小結・妙義龍、一気の突き押しが得意の豊響、多彩な技を持つ佐田の海など特徴のある関取衆がいる。こと欠かない稽古相手に胸を出しながら、豪栄道は自分から攻める形を今、必死でつかもうとしている。

 3横綱、3大関時代の今。全員がそれぞれ部屋が違うだけに、15日間のうち5日間は横綱、大関戦になる。賜杯を抱くには、厳しい番付だ。ただ、かつて今と同じ3横綱、3大関時代(※)の1983年初場所で、大関で優勝した元大関・琴風の尾車親方はこう話す。
※北の湖、千代の富士、若乃花(この場所中に引退)の3横綱と隆の里、若島津、琴風の3大関

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