【カーリング】日本、宿敵に完敗。国際舞台で露呈した弱点 (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 PACCの結果を踏まえて、さらなる強化の必要性を感じていた小笠原。今度のカナダ遠征では何を求めていくのだろうか。

「とにかく、チームとしての安定感がほしい。ゲームを通してはもちろんのこと、大会を通しての安定感も。個々の課題は言わなくてもみんなわかっていると思うけど、ソウトウェイトのショット、フリーズやカマー(※)をしっかりと決められるようにならないといけない」

※フリーズ=ハウス内のストーンの脇にくっつけるように止めるドローショット。カマー=ストーンの後ろに回り込むように置くドロー系のショット「カム・アラウンド」の略称。

 チームの他の面々も、PACCで低調だったパフォーマンスを反省し、海外遠征でのレベルアップをそれぞれ誓った。

「個々のショットをしっかり決めることが前提。そのうえで、(チーム内で)コミュニケーションを図りながら、(狙いどおりに)ストーンを運べるようにしたい」(リード・近江谷)

「ショットにばらつきがあるので、そこの安定と、ウェイトジャッジ(投げられたストーンのスピードの判断)をより意識して、その精度を高めたい」(セカンド・小野寺佳歩)

「(PACCでは)課題がたくさん見つかった。特にドロー。それが決まらないと点にならないので、しっかりと集中して(ストーンを)投げられるようにしたい」(サード・吉村)

 この先、北海道銀行が見据えるのは、年が明けて2月に行なわれる日本選手権(北海道・北見)。そこで日本の頂点に立って、3月に地元・北海道(札幌)で開催される世界選手権の出場権を得ることだ。PACCでは、世界レベルではまだ実力不足であることを痛感させられたが、一層の強化を図ったあと、再び挑む国際舞台で、改めて世界における今の自分たちの立ち位置を確かめたいところ。それが、2018年の平昌五輪での飛躍につながっていくはずである。

 小笠原は言う。

「国内では、もう負けたくないです。ずっと勝ち続けて、常に日本代表として、世界選手権などの国際舞台で戦い続けたい。そういう経験を若いメンバーに積ませてあげたい。それが、いちばんの強化だと思っています。私自身、五輪には3回出ましたけど、(経験が)足りているとは思っていませんから。それに、平昌五輪までまだ4年ありますけど、正直、もう3シーズンしかないという気持ちのほうが強い」

 新生・北海道銀行の挑戦は始まったばかりだが、明確な目標に向かって、すでに全力でまい進している。すべては、2018年平昌五輪でメダルを獲得するため、である。

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