2014.08.26

【月刊・白鵬】横綱がはまった「スポーツ漫画」

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

第41回:スポーツ漫画

少年時代はバスケットボールに夢中だったという白鵬。名古屋場所(7月場所)で
通算30回目の優勝を飾った横綱。
今回はその舞台裏を振り返るとともに、
『スポルティーバ』の月間特集に合わせて、
モンゴルの漫画事情と、横綱が好きな
スポーツ漫画について語ってくれた。

 この夏の巡業は、8月7日の福島県いわき市での復興祈願土俵入りを皮切りに、茨城県、新潟県、東北の各県(山形県、宮城県、秋田県)、そして北海道の各都市と、全国9カ所を回ってきました。

 どの土地でも、熱心なファンの方々が朝早くから会場に詰め掛けて、稽古の模様を真剣に観戦。各力士にゲキを飛ばす様子が随所に見受けられました。そして、どこの会場も大入り満員。千秋楽まで盛り上がった名古屋場所(7月場所)の余韻が感じられ、私たち力士にとって大いに励みになりました。巡業に足を運んでくれたみなさん、本当にありがとうございました。

 さて、先の名古屋場所で、私はひとつの区切りとなる30回目の優勝を飾ることができました。優勝30回以上を記録している力士は、私が尊敬してやまない大鵬関(32回)と、「ウルフ」と称されて一時代を築いた千代の富士関(31回)のふたりしかいません。おふたりとも「大横綱」と呼ばれた相撲界の大先輩です。そのような方たちと肩を並べることになる記録だけに、達成したときのうれしさは、これまでの優勝とは違った感覚がありました。

 場所前は、とにかく「30」という数字を意識しないようにしていました。あくまでも白鵬という力士が土俵でがんばってきた積み重ねの結果であって、数字自体に大きな意味はない、と。とはいえ、私も人間ですから、知らず知らずのうちに意識していたんでしょうね。「30」という数字は、いつも頭の片隅にありました。

 その分、名古屋場所はとても苦しい場所になりました。実は、場所が始まってからというもの、結果を求めるがゆえに、心と体が一致しないことが何度もありました。11日目の関脇・豪栄道戦、13日目の大関・稀勢の里戦のときがまさにそんな状態で、私の心の弱さが敗戦につながったと思っています。

 私が2敗を喫したことで、優勝争いは混沌となりました。千秋楽を前にして、2敗で並ぶ大関・琴奨菊をはじめ、3敗の豪栄道、高安(前頭11枚目)にまで優勝のチャンスが生まれました。