2014.06.16

【レスリング】吉田沙保里&伊調馨。新階級で見えた一抹の不安

  • 宮崎俊哉●構成・文 text by Miyazaki Toshiya photo by AFLO

 2013年2月、国際オリンピック委員会(IOC)は、2020年五輪で実施する中核競技からレスリングを外すと決定。古代オリンピック競技であり、近代オリンピックでは第1回大会から続く伝統ある競技ながら、オリンピックから除外される危機に直面したレスリングは、ネナド・ラロビッチ新会長のもと組織改革を断行した。さらに、延長戦で攻撃権を選択するボールピックアップなど分かりにくいルールを変えるとともに、各階級も変更。すべての競技において男女平等を目指すIOCの意向に沿って、女子の階級を4から6へ増やしたことは、オリンピックに存続できた大きな要因だろう。

新階級で挑んだ吉田沙保里は、危なげない試合で全日本選抜を制した 2016年リオデジャネイロ・オリンピックは、男子フリースタイル、男子グレコローマンスタイル、女子スタイルそれぞれ6階級で実施される。それを受けて、6月14日~15日に東京・国立代々木競技場第2体育館で開催された全日本選抜選手権は、国内で初めて新階級で行なわれた。

 オリンピック3連覇の偉業を達成し、2年後のリオでは4連覇に挑む吉田沙保里、伊調馨が出場する女子スタイルの新階級は、48キロ級、53キロ級、55キロ級、58キロ級、60キロ級、63キロ級、69キロ級、75キロ級の8階級。世界選手権、大陸選手権、ワールドカップなどはこの8階級で行なわれるが、オリンピックでは55キロ級と60キロ級をのぞく6階級となる。

 新階級にあわせて、吉田はそれまでの55キロ級から53キロ級に、伊調は63キロ級から58キロ級に変更した。レスリングに限らず、体重によって階級が分けられる競技では、ベテランとなればアップすることはあっても、ダウンすることは通常ありえない。だが、ふたりの女王はあえて下の階級を選択した。