2014.03.27

髙梨沙羅があるおばあちゃんに教えられた「ソチ五輪4位」の価値

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 3月22日のW杯最終戦・プラニッツァ(スロベニア)で行なわれたラージヒルでは、追い風が吹くなかでも135m、132.5mの大ジャンプを揃えて2本ともトップ。2位になった伊藤有希に26.7点の大差を付けて髙梨沙羅は15勝目をあげた。

W杯総合2連覇を果たし、クリスタルトロフィーを手に笑顔を見せた髙梨沙羅 W杯全18戦は優勝以外でも2位が2回、3位が1回とすべて表彰台にあがる抜群の安定感で、昨季に続く総合優勝を獲得。さらに昨季はアメリカとスロベニアに後れをとる3位だった国別対抗のネーションカップも、伊藤の成長などが加わって大差で獲得と、強さを見せつけたシーズンを終えた。

「今年もたくさんの方々の支えがあって総合優勝を獲ることができました。昨年に続いてクリスタルトロフィーを手にすることができましたが、その重さは応援してくれる方々の温かさや思いが詰まっているからだと私は感じています」

 こう話す髙梨は、初のネーションカップ獲得についても「チームの先輩方はじめ、スタッフの皆さんのおかげで獲れて。最終戦にみんなで(ネーション)カップをいただけたことはすごく大きかった思うし、表彰台からの素晴らしい景色を味わわせていただきました」と振り返る。

 7連勝を含むシーズン15勝。その中には大差での勝利が多く、彼女の飛び抜けた実力を示した。世界ジュニア個人では3連覇を果たし、W杯の混合団体、世界ジュニア団体でも優勝を飾ったが、唯一、表彰台にあがれなかったのが2月のソチ五輪だった。

「五輪だけがちょっと違いましたね。そこに焦点を合わせることができなくて調子が落ちてしまったというか……。なかなか自分のジャンプができなかったのでそこが悔やまれるところですが、その後でしっかり振り返ることができたと思いますし、とてもいい収穫になったんじゃないかと思います。先輩方が作ってくれた土台の上にできた五輪だったと思うので、あの舞台に立てて自分は幸福だったと思うし、とてもいい経験をさせていただきました」

 父親の寛也さんは「沙羅の場合は体が小さくてスキーも短いから、極端に寒過ぎるところや、気温が上がってアプローチの氷が緩んだり雪が降っているような条件は不利なんです。そういう悪条件の時は長いスキーを履いている大柄な選手の方が有利」と話していた。 

 好調なシーズンインをした今季の髙梨が、そんな父の言葉通りに、最初の躓(つまず)きを感じさせたのは第4、5戦のロシア・チャイコフスキー大会だった。