【ソチ・パラリンピック】メダルラッシュ。ベテラン森井大輝が与えた日本チームへの影響 (3ページ目)

  • 堀切 功●文・写真 text&photo by Horikiri Isao

 2度目のパラリンピック出場となった2006年トリノ大会では、自身初の銀メダルを大回転で獲得。さらに、2010年バンクーバー大会でも、滑走で銀とスーパー大回転で銅を手に入れた。残された目標はただひとつ。すでに国の枠組みを超え、世界を牽引するリーダー的存在となった森井にとって、どうしてもかなえたい夢が、パラリンピックの金メダルだった。森井のその執念は後輩たちをも巻き込み、日本選手たちの総合力を高めていく。チームの主力である狩野の急成長も、本人の努力に加え、森井のリーダーシップが存在したからこそ成し得たものと言えるだろう。

 金メダルを目指し、並々ならぬ決意で乗り込んできたソチの初戦で、まさかの転倒。身体に残るダメージを抱えながら、森井は翌日のスーパー大回転に臨んだ。本調子ではないとはいえ、世界最高と称されるテクニックは転倒者続出の難コースでも存分に発揮されて、狩野に次ぐ2位となり銀メダルを確保。これで、メダルなしという最悪の結果をまずは避けることができた。残りは3種目。その中には、彼がもっとも得意とする大回転も含まれている。

 確たることは誰にも言えない。だが、はっきりしているのは、その瞬間が訪れたなら、かつて経験したことのないほどの祝福の嵐が、チームメイトから、そして世界のライバルたちから、森井大輝に浴びせられるであろうということだ。
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