【スキージャンプ】新たなライバル出現で、髙梨沙羅がさらなる成長 (3ページ目)
それでも、大倉山に場所を移した4日の大倉山サマージャンプ大会(ラージヒル)では笑顔を取り戻した。1本目は前日の敗戦を引きずったのか126.5mに止まり、129mを飛んだ好調な伊藤に6点の大差をつけられる2位に止まった。
だが2本目に絶好の向かい風をもらうと「飛び出してマキシマム(前方に進んでいた体が落下し始める地点)に行った時に、明らかに景色が違うなと思いました。ヒルサイズの赤いラインを超えた時には『アッ超えた!』と思ったけど、まだまだ飛び続けるので『どこまで飛んでいくのだろう』と思いました」という大ジャンプ。着地で両手をついてしまったために転倒と見なされて記録としては2011年1月に自身が出したこのジャンプ台のバッケンレコードにはならなかったが、141mを記録したのだ。
飛型点は転倒ということで各審判が10.0~12.0点(20点満点)と低かったが、123mに止まった伊藤には飛距離点で32.4点差をつけてカバーして逆転優勝を果たした。
「先週から踏み切りの時に上体が突っ込み過ぎると指摘されていたけど、今日の2本目はうまく修正することができました。試合の内容はともかく、モヤモヤしていた気持ちが吹っ切れるようなジャンプを2本目に出せて、爽快な気持ちになれました。今日はとにかく、国内では最後のサマージャンプの大会なので、楽しくやろうと思っていました」と笑顔を見せながら話した。
彼女の次の試合は、8月15日にフランスのクーシュベルで行なわれるサマーグランプリ第2戦になる。
「課題のテレマーク着地は練習あるのみだと思います。以前は体力もなくて長時間練習するとバテてしまって試合に支障が出ていたが、昨シーズンからはいろいろなサポートで体質改善も出来て練習でもあまりバテず、試合に集中できるようになってきている」と成長への手応えも口にしている高梨。日本人選手に敗れた悔しさと、久々に出た大ジャンプの爽快感を味わえた札幌連戦は、残るサマーグランプリ5大会に向けて、彼女を目覚めさせ、闘志を掻き立てる起爆剤になったはずだ。
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