【スキージャンプ】W杯札幌大会。なぜ高梨沙羅は飛べなかったのか?
今季W杯で4勝をあげている高梨沙羅「気持ちはいつもと変わらずに飛べたんですけど、やっぱりジャンプの中で何かがおかしかったのかもしれません。昨日から自分のジャンプのビデオを1~2回観ただけなので、どこが悪いのかまだ自分でもわかっていなくて、そこがしっかりわかるまでビデオを見直したいです」
女子ジャンプW杯札幌大会2日目の2月3日。雪が降り続く中で行なわれた試合で、5位に止まった高梨沙羅(グレースマウンテン・インターナショナルスクール)は複雑な表情を見せた。
国内4連戦前半となる地元札幌開催の大会で、W杯総合優勝へ大きく前進するのを期待されていたが、気象条件が目まぐるしく変化する宮の森ジャンプ台の風は、女王を目指す高梨に微笑(ほほえ)まなかった。
大会1日目は雪こそ降らなかったが、強い風が吹き荒れ、風の向きや強弱がクルクル変わる難しい条件での戦いとなった。中断が度々あった上にスタートゲートも3回変更され、41名が飛び終わるまで1時間以上もかかり、結局は風が強くなってきたため、1回だけのジャンプで試合は決まった。
ランディングバーン脇の7ヶ所に設置された風力計が示す平均値で計算されるウインドファクター。各選手のジャンプ時の風速は追い風0.7mから向かい風3.21mまであり、向かい風が多い試合だった。その中で一番最後の高梨は、数字上向かい風1.23mの条件だったが、飛距離を85mしか伸ばせず12位に止まった。
本人は「ジャンプは良くも悪くもなかったけど、空中で浮力を感じなかった。それでも点数を見ると、向かい風になっていたから、自分の中でも何が起こったのかわからなかった」と語っていたが、ジャッジタワーで見ていた斉藤智治ジャンプ部長によれば、「中盤は横風で、その下は追い風」という条件。ほかの箇所では向かい風が吹いていたが、距離を伸ばすのに最も必要な中盤から後半にかけては追い風になり、さすがの高梨でも飛距離を伸ばすのが難しかったのだ。
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