【レスリング】日本のレスリングはなぜ強いのか? (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by JMPA

【3】 迅速な『ルール対策』

 五輪3連覇を達成した伊調馨、吉田沙保里が所属するALSOKの大橋正教監督は、今大会、日本選手が活躍した理由のひとつとして、「ルールを味方にしている」と説く。

 近年のレスリングは、頻繁にルール変更が行なわれている。試合時間や、引き分けの場合の決着法など、さらに細部にいたっては毎年のように変更している。しかし日本は、その新ルールへの対応が非常に速い。

 理由は、ロンドン五輪でも2名の日本人が審判を務めたように、かねてから多くの国際大会に、日本が審判を派遣しているからだ。よって、ルール変更があった場合には、すぐに条文を和訳。全加盟団体に伝達し、コーチや選手たちに新ルールを指導すると同時に、その対処法の研究も重ねている。そのため、選手たちは新ルールに戸惑うことなく、むしろ味方にしているというわけだ。

【4】 世界一ハードな『練習量』

 国際大会で活躍する日本人選手のスタミナは、他国の選手と比べても、ずば抜けている。試合が第3ピリオドにもつれ込めば、その差は歴然だ。先述したように、代表合宿には毎回のように多くの外国人選手が参加しているが、彼らは練習前半のトレーニングで、すでにバテバテの状態である。また、北京オリンピック前に行なわれたレスリング・柔道の合同練習に参加した柔道選手も、やはり同様に音を上げていた。世界一ハードな練習量が、日本の強さの源(みなもと)となっているのは間違いない。

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