【レスリング】日本のレスリングはなぜ強いのか? (3ページ目)
【5】 積極的な『環境整備』
2008年、374億円を投じて東京・北区に完成した味の素ナショナルトレーニングセンター。競技ごとに超近代的な練習施設が完備しているが、JOC(日本オリンピック委員会)関係者によれば、このセンターを最もよく利用しているのはレスリングである。代表クラスの合宿はもちろんのこと、2番手・3番手の選手や、ジュニア世代の合宿も多い。JOC副会長でもあるレスリング協会の福田会長が、センター長を務めていることも大きい。
また、こうした最新の練習環境での厳しい合宿を行なう一方、女子は新潟・十日町、男子は長野・菅平で、山や坂道などを使ったナチュラルトレーニングも継続している。身体能力や技術だけでなく、精神面も鍛えられる環境作りが、前述の『八田イズム』から受け継がれている。
1988年ソウル五輪を最後に遠ざかっていた男子も24年ぶりに金メダリストが生まれ、『レスリング王国』は完全復活した。日本レスリングがこれまで獲得した五輪金メダルの数は、現在28個。いつの日か、29個の体操、さらには36個の柔道を抜いて、日本一の競技団体となっても不思議ではない。
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