【体操】内村航平に次ぐ代表メンバーが決定!「団体で金メダルを獲りたい」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉●写真 Kishimoto Tsutomu

左から田中佑典、加藤凌平、山室光史、田中和仁、内村航平の5人が代表に選ばれた左から田中佑典、加藤凌平、山室光史、田中和仁、内村航平の5人が代表に選ばれた 5月5日のNHK杯2日目最終演技の鉄棒。着地をピタリと決めたかに見えた内村航平は、一瞬止まってからふらりとよろけるように半歩後ろへ足を出した。観客席からも笑いがこぼれ、内村も照れくさそうにニヤリと笑う。

「最後は笑っちゃいましたね。着地を決めようと思っていたけど、上体が上がるのが早かったんで。納得できなかったけど、それが五輪の課題になると思います」

 内村が試技の前にイメージしたのは五輪本番。それも団体戦の最後の演技者として鉄棒に挑むつもりで気持ちも高めた。演技構成はこれまでやってきたものと同じだったが、実施点のEスコアは前日の演技より0.1点低い8.75点で合計は15.650点。鉄棒で五輪を狙う植松鉱治に次ぐ2位の成績で、着地以外はほぼ完璧だったが、自身は満足できなかった。

 昨年12月に五輪代表が内定して以来、内村は練習でも常に五輪で演技していることをイメージしてきたという。自分で自分にプレッシャーを掛けながら、「今日ノーミスだったら甘いものを食べよう」など、小さな幸せを与えることでプレッシャーにも対応してきた。

 この試合ももちろん、五輪をイメージした。最初のゆかで15.550点でトップに立つと、続くあん馬でも最高得点を出した。残りの4種目も15点台中盤から後半の点数を出し、合計得点で2位に入った山室光史に1.750点差をつける93.300点。昨年の世界選手権優勝得点に0.331点及ばないだけの高得点だった。

「去年の世界選手権では、自分がロンドンでどうやるかというのを、すべて整えて出たので、それからは構成を変えずに維持することを目指しています。でも、維持するというのもけっこう難しいんです」

 こう言って笑う内村だが、進化を止めた訳ではない。鉄棒ではG難度の伸身コールマン(カッシーナ)とF難度の伸身トカチェフ1回ひねり(リューキン)の離れ技を組み込んだ構成も試している。予選免除で3種目だけに出場したNHK杯初日の鉄棒では、演技価値点のDスコアを7.9点という高得点でまとめ、世界選手権種目別優勝者のスコアを0.3点以上も上回る16.750点を出した。

「日本選手権ではリューキンをカッシーナの後にやったが、今回は一番最初に持っていく構成で楽にできた。種目別の金メダルを見据えた演技ができた」と、昨年の世界選手権で獲得したゆかの金メダルに加え、鉄棒での金メダルも視野に入れた。まさに五輪への準備は、着々と進んでいる状況だ。

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