りくりゅうが築くペア新時代 「感慨深い」全日本制覇で見せた本物のたくましさ (2ページ目)
【細部にこだわるチャンピオン】
ショートプログラム(SP)でりくりゅうは74.16点で首位に立ったが、彼らが戦っているのは自分たち自身なのだろう。3回転トーループの回転不足に相当な悔いが残っていたようだ。
ーーGPファイナルよりも、いい演技にする自信はあるか?
報道陣の質問は三浦に向けられていたが、木原がすかさず割って入るように答えた。
「絶対にできると思います」
その勢いに少し笑いが起こると、木原は真剣なままで続けた。
「できてなかったら言わない。練習はしっかりとできていて、自信を持っていたんですが、試合で発揮できないというのは悔しい。できているので、もっと発揮したいなって。(ミスは練習で)数をこなして、乗り越えていかないと勝てないと思います」
木原が頭のなかで描く"ベストのりくりゅう"の形があるのだろう。
「ファイナルのほうが緊張感があったなって思いました。(全日本SPは)集中できていて、体もキレていて、平常心でも臨めていたので......それだけに(ミスは)残念だったなって思います。その状態でしっかりと演技できなかった、というのが」
演技後にこう振り返ったが、まるで敗者の弁のようだった。しかし、そうやって細部を怠らず、完璧性を求める向上心が、彼らをチャンピオンにするのだろう。その執念こそ、りくりゅうの正体の一部なのかもしれない。
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