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4回転7本すべてで回転不足判定に「複雑だけど乗り越える」 王者イリア・マリニンにインタビュー (2ページ目)

  • 野口美恵●取材・文 text by Noguchi Yoshie

【4回転7本挑戦への道のり】

ーーフリーでは7本すべてのジャンプで4回転を跳びました。いつからこの挑戦をしようと考えていたのでしょう?

 もともと今シーズンのどこかのタイミングで挑戦しようと考えていました。すでに6種類の4回転は跳べるようになっていたので、昨シーズンからやりたいなとは思っていました。でも昨シーズンはまず、GPファイナルと世界選手権の2つの世界タイトルを獲ることが目標で、7本に挑戦する計画は誰にも話していませんでした。

ーースケートカナダのフリーでは4回転3本だったことから考えると、予想できないジャンプ構成でした。

 アメリカとカナダの2戦は、まず新しいプログラムの芸術性を磨いて、アピールする必要があったので、すべての技術を詰めこみませんでした。自分のスケーティングをもっと向上させる時期でしたから。自分の全部の技術は使わずにGPファイナルに進み、この舞台でためてきた技術を一気に入れようと考えていました。

ーーフリーの6分間練習では、4回転アクセルを練習しませんでした。それなのに本番一発で決めたのは驚きでした。

 僕の場合、ジャンプを本番一発で決めるためには、踏み切りのタイミングと、助走からアプローチしていく感覚、この2つの確認が大切なんです。だから6分間練習では、トリプルアクセルを跳んで、自分の身体に感覚をセットしました。そして、あと1回転の追加を入れるための十分な空間を、トリプルアクセルで確認しました。実際に4回転アクセルを跳ばなくても、しっかりと高さや滞空時間のあるトリプルアクセルを跳ぶことで、あと1回転分の余裕があるなというのを確認したのです。

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