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坂本花織「いい時ばかりではないと経験できた」GPファイナル連覇を阻んだのはアメリカの25歳 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【25歳の新女王が日本勢に刺激】

 一方、初出場のGPファイナルで2位になった千葉も、SPに続いてフリーでも課題を残す結果になった。3本目の3回転ループは着氷で尻もちをつきそうになるジャンプで「q」判定となり、後半の2つの連続ジャンプはともに3回転ルッツがノット・クリア・エッジ。最後の3回転フリップも軸が少し斜めになってGOEを稼げずに終わった。

「フリーの演技はとても完璧と言えなかったですが、それでもループの着氷で耐えたり、最後のフリップもけっこう危なかったけど、全体的にまとめることができたのは大きな成果だと思います」

 千葉はそう振り返る。うれしさと反省が入り交じる銀メダル獲得となった。

 対して最終滑走のグレンは、冒頭のトリプルアクセルを危なげなく決め、3回転サルコウや3回転フリップでミスがありながらも、合計を212.07点にして初優勝を果たした。

 2022年北京五輪後には坂本らと競り合ってきたルナ・ヘンドリックス(ベルギー)やイザボー・レヴィト(アメリカ)、さらにはチームとしても張り合ってきた韓国勢が不調で、戦いの焦点が少しぼやけたようになっていた今季。

 25歳になってから、挑戦し続けていたトリプルアクセルを安定させて世界のトップに躍り出たグレンの存在は、上位で戦い続けてきた日本勢にとっても大きな刺激にもなり、励みにもなる。

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著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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