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鍵山優真復活の舞台裏 内田嶺衣奈アナと海老原優香アナがフィギュアスケートを語らう (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【フィギュアスケートの特殊性】

ーー三浦佳生選手はスピード感や闘争心などが際立ち、個性的なスケーティングでシーズンを戦い抜きました。

海老原 私も中継を担当した全日本で、三浦選手は体調が悪いなかでの出場でした。試合当日、朝の練習を(胃腸炎で)行なっていないほどでしたが、その苦しいなかでも全力投球というのがわかる、すさまじい気迫でした。

 本人は演技の出来そのものに納得できない部分もあったと思うんですが、お客さんがここまで来てくれたのに演技しないわけにはいかないという思いがこもっていて。そんな思いやりも三浦選手の強みのひとつだと感じました。

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内田 三浦選手は、楽しみっていうひと言に尽きます。パッション系スケーター! いつも一生懸命で、練習からずっとそうで、とにかく応援したくなる選手です。今シーズン、フリーの『進撃の巨人』は三浦選手にしか演じられないプログラムだと思いますし、スピード感や勢い、気迫、独特のものがあると思います。

ーーフィギュアスケートはあらためて、たったひとりでリンクに立ち、すべての注目を浴びながら表現に臨むという独特な競技。でもだからこそ、そこに物語があって、驚きもあって、いろんな選手が出てきますね。

海老原 たくさんの観客がいるなか、勝ち負けだけでなく表現力も求められる採点競技で、たとえば野球とも水泳とも違って、独特なところもある競技だと思います。そのなかでお客さんは、選手がミスして転んでも拍手をして、スケーターの一挙手一投足をすごく見ている。

 ファンの方々は選手のストーリー、過程を知ったうえで、その選手がどこに向かって行きたいのかを感じて応援しているんだなって、現場で取材していて感じました。

内田 どういう意図で起こっている拍手か、そこに伝わってくるものが繊細で、そこもフィギュアスケートの魅力と言えますよね。先日の世界選手権はカナダ・モントリオールでしたが、北米開催の大会はファンの熱量がすさまじいんです。ジャンプひとつ降りたら、「フー!」ってすごい歓声が降り注いで、リアクションのテンションがものすごく高い! 失敗した時も盛り上げて応援しようとする姿勢が伝わって、小さな子どもからシニア世代まで、ウインタースポーツが地域に根付いているんだなと感じました。

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海老原 みんなで選手を鼓舞するみたいな?

内田 そう! スケーターにとって、自分の演技に歓声がすべて降って来るみたいな感覚は、たぶん怖さもあると思うんですが、背中を押してくれる心強い味方でもあり、それでさらにすばらしい演技になったり、そういうところにもドラマがありますよね。

海老原 フィギュアスケートを取材するようになって感じたのが、それぞれのスケーターが、ライバルを追いかけたい、越えたいという競争心を持っていると同時に、ひとりの選手としても人としてもお互いをリスペクトしているところ。みんな、心から拍手を送っているんですよ。そういう人たちの集まりだからこそ、どんどん向上できるんだろうなって思います。

後編<坂本花織は「オーラがある」「強さを感じる」 内田嶺衣奈アナと海老原優香アナがなりたいスケーターは?>を読む

前編<内田嶺衣奈アナと海老原優香アナ、フィギュアスケート担当のふたりが目撃した宇野昌磨の変化>を読む

【プロフィール】
内田嶺衣奈 うちだ・れいな 
1990年、東京都生まれ。上智大学卒業後、2013年フジテレビに入社。現在はフィギュアスケート中継のほか、『プライムオンラインTODAY』(BSフジ)メインキャスターなどを担当。趣味は料理と旅行、特技はフランス語。

海老原優香 えびはら・ゆか 
1994年、東京都生まれ。学習院大学卒業後、2017年フジテレビに入社。2023年からフィギュアスケート中継を担当。『Live News α』金曜メインキャスターなども務める。趣味はゴルフで、番組でついたあだ名は「ブンブン丸」。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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