長光歌子が展望する今季世界選手権 高橋大輔が優勝したトリノは「用意された舞台のようだった」

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

フィギュアスケート・長光歌子インタビュー特別編(全4回)

 50年以上にわたってフィギュアスケート界で指導者を続けてきた長光歌子コーチ。数多くのトップスケーターたちを輩出しているが、なかでも高橋大輔とは二人三脚で、華々しく男子フィギュアの歴史を変えた。今回はインタビュー特別編で、3月にカナダ・モントリオールで行なわれる世界選手権の展望をシングル中心に聞いた。

2010年、トリノで開かれた世界選手権で金メダルを獲得した高橋大輔  photo by Noto Sunao(a presto)2010年、トリノで開かれた世界選手権で金メダルを獲得した高橋大輔 photo by Noto Sunao(a presto)この記事に関連する写真を見る 女子シングルは、世界女王である坂本花織の3連覇がかかる。そのダイナミックな演技は、大会のハイライトになるだろう。昨年12月の全日本準優勝、今年2月の四大陸選手権優勝と意気軒昂の千葉百音、昨年のグランプリ(GP)ファイナル3位の吉田陽菜も伏兵と言える。"日本女子で表彰台独占"もない話ではないほどの勢いだ。

 男子シングルは、同じく宇野昌磨の3連覇がかかる。難解なプログラムを芸術的に仕上げ、「至高の表現」で頂点に立てるか。鍵山優真は四大陸選手権優勝で調子を上げ、三浦佳生は爆発力を感じさせる演技で起死回生を狙う。他にも、"世紀のジャンパー"イリア・マリニン(アメリカ)を筆頭に、韓国のチャ・ジュンファン、フランスのアダム・シャオ・イム・ファなどと表彰台を争うことになるだろう。

【日本女子は表彰台独占もあり得る】

ーー2年前のインタビューで長光先生は、千葉選手の台頭を予想しておられました。さすがの慧眼です。

長光歌子(以下同) (千葉)百音ちゃんは、スケートのよさを表わせる選手ですよね。ジャンプ、スピン、表現力と三拍子そろっているので、これからが楽しみです。

ーー坂本選手は3連覇が期待されます。

(坂本)花織ちゃんは、とにかくパワフル。ダブルアクセルひとつとっても、圧倒的なパワーで点数をもぎとれます。基礎点もどんどん稼げるし。ロシアの選手もいないし、ちょっと敵がいないかなと。それくらいの強さですね。

ーー吉田選手はシニア1年目、トリプルアクセルを武器におどり出ました。

 ピッチの速い、回転を速くしたジャンプで回る感じで。大技が求められるなか、しっかりととり入れていますね。

ーーこうして名前を挙げると、日本人選手の表彰台独占も......。

 あり得ると思いますよ。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る