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宇野昌磨の競う喜びと勝算「マリニン君にジャンプで敵う人は数十年いない...でもギリギリ戦える」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【己と戦い続けるスポーツ】

 GPファイナルSPのあと、フリーでどのくらいの得点差まで逆転が可能かと記者から質問され、宇野は「何点でも(逆転は)あると思います」と答え、こう続けた。

「そこ(得点差)まで考えすぎると、相手が失敗するというのが要素としてまず入ってこなければいけないとかもあるけど、フィギュアスケートは対人スポーツとは違う。相手のいやがることをするスポーツとはまた違って、己とずっと戦い続けます。他の選手もライバルであり、どちらかというと仲間だと僕は思っている。もちろん点数をハイレベルで競い合うのはすごく楽しいことだし、見ている人たちもそのほうが楽しいと思うけど、あまりそこに固執しすぎずに。『今回は負けちゃった。でも次は勝ちたいな』みたいなことを、直接相手と言い合えるくらいの仲で、そういう意識でこのスポーツに取り組みたいと思っています。今回出ている6人は、全員そういうメンタルの持ち主だと思っているのですごく居心地いいですね」

 心地いい戦いの場で、自分をどう高め、どう納得できる演技をつくり上げていくか。

「自分の場合は、他の選手よりもスケートがすごく好きではないんです。スポーツとして小さい頃からやっていることだからこうやって一生懸命で。僕は性格上、やるって決めるとたぶん人よりも真剣にやってしまう性格なので、それでこういうところまで来られたのだと思います」

 今は尊敬するランビエールコーチとともに、自分が進むべき道を楽しみながら探求しているようだ。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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