14歳の島田麻央が見せたポテンシャルの高さ。大技に頼らない精神力と技術の確かさで世界ジュニア制覇に挑む

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

Sportiva注目若手アスリート「2023年の顏」

第9回:島田麻央(フィギュアスケート)

2023年にさらなる飛躍が期待される若手アスリートたち。どんなプレーで魅了してくれるのか。スポルティーバが注目する選手として紹介する。

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2022年12月の全日本選手権で3位に入った14歳の島田麻央2022年12月の全日本選手権で3位に入った14歳の島田麻央この記事に関連する写真を見る 14歳の島田麻央(木下アカデミー)は、ノービス時代から数々の優勝歴を残してきた。

 全日本ノービス選手権は2回目の出場でBクラス(9〜10歳)を制し、2020、2021年のAクラス(11〜12歳)は連覇でノービス3連勝。推薦で出場した全日本ジュニアでは、初出場の2020年は3位、2021年は荒川静香以来2人目の中学1年での優勝を果たした。

 練習拠点を東京から京都に移し、木下アカデミー所属になった2020年からはトリプルアクセルに挑戦し始めた。2021年全日本ノービスでは4回転トーループを成功。さらに2022年3月には京都府選手権でトリプルアクセルを初成功。高難度ジャンプの時代に、次世代の逸材と期待されるようになった。

【ジュニアデビュー初年で大躍進】

 そんな新星は今季、満点と言えるようなジュニアデビューを果たした。

 初めてジュニアグランプリ(GP)シリーズ参戦となった8月のチェコスケートでは、ショートプログラム(SP)で3回転ループとダブルアクセル、演技後半に入れた3回転ルッツ+3回転トーループをきれいに決め、スピンとステップはすべてレベル4と、ノーミスの滑りに。自己最高の71.49点で首位発進した。

 フリーは、4回転トーループとトリプルアクセルを1本ずつ入れた挑戦的な構成。2本目の4回転トーループは回転不足で転倒したが、最初のトリプルアクセルを含む6本のジャンプでしっかり加点をもらう。スピンとステップでもレベルをとりこぼさず自己最高の141.16点。合計も自己最高の212.65点で優勝した。

 2戦目のソリダリティ杯(ポーランド)では、SPは連続ジャンプでミスが出て2位発進。フリーでは4回転トーループを4分の1回転不足にとどめ、他の要素は加点をもらって自己最高の148.87点を獲得。

 合計はシニアでも上位を狙える217.68点でジュニアGPシリーズ連勝。シリーズランキングは2試合の得点の合計で、2位の吉田陽菜(木下アカデミー)に18.50点と大差をつける1位でファイナル進出を決めた。

 11月下旬の全日本ジュニアでは、200点台には乗せられなかったものの、フリーでは「2本を入れるようにしてから初めて跳べた」(島田)と話す4回転トーループを決めて連覇を達成。

 その11日後スタートのタイトなスケジュールだったジュニアGPファイナルでも「どんどん挑戦して守らずに攻め、思いきり楽しみたい」と、205.54点で優勝と安定感を発揮した。

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