GPファイナルの3枠を争うNHK杯女子フィギュア。坂本花織が最有力で渡辺倫果、住吉りをんは食い込めるか (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

坂本花織が最有力、3枠を争うNHK杯

 そうなると、NHK杯は残りの3枠を争う戦いになる。

 スケートアメリカを217.61点で制している坂本花織(シスメックス)と、スケートカナダを197.59点で制している渡辺倫果(法政大)の他、フランス大会2位のキム・イェリム(韓国)やスケートカナダ2位のスター・アンドリュース(アメリカ)に加え、スケートアメリカ3位のアンバー・グレン(アメリカ)とフランス大会3位の住吉りをん(オリエンタルバイオ/明治大)が候補になる。

 そのなかで最も有力なのは、昨季は北京五輪3位、世界選手権優勝の実績を持っている坂本だ。昨季まではプログラムのブラッシュアップもあってシーズン序盤は得点が伸びないことも多かったが、今季はショートプログラム(SP)、フリーともに新しい振付師に依頼し新曲に挑戦するなか、初戦のスケートアメリカで217.61点と好スタートをきっている。

 昨季もNHK杯ではしっかり状態を上げてきていたように、今年も得点を上積みして優勝という形になりそうだ。

渡辺倫果、住吉りをんは食い込めるか

 それに続くのは、今季がGPシリーズ初参戦となっている渡辺だ。スケートカナダ優勝も得点は197.59点と伸び悩んだが、9月に開催された国際競技会のロンバルディアトロフィーでは213.14点で優勝と底力を持っている。

 前戦の得点はスケートアメリカ3位のグレンが197.61点と若干上回っているが、渡辺は初の大舞台優勝で気持ちも乗っているうえ、地元日本開催でコンディションも整えやすいだけに自己ベストに近い得点を出してくる可能性は高い。

 ただ、フランス大会2位のキムは194.76点に終わったものの、昨季は四大陸選手権3位で北京五輪9位という実績を持ち、今季はチャレンジャーシリーズのフィンランディアトロフィーで213.97点の自己ベストを出した。拠点は韓国でNHK杯では時差もなく、渡辺と同じような好条件で戦えるだけに怖い存在になる。

 それでも渡辺の場合は、坂本が優勝すれば、前戦2位のキムかアンドリュースのいずれかが2位になって26ポイントとしても、3位になったほうは24ポイントになるため、渡辺が4位でもポイントは並び、優勝1回という点で上位に立てる。GPファイナル進出争いとしては余裕を持って戦えるのが大きな利点だ。

 男子のGPファイナル進出争いに比べれば大混戦とまでは言えない状況で、坂本に続く渡辺とキムが少し抜け出していきそうな気配だが、それに対して前戦では2位だったアンドリュースや、3位だったグレンと住吉がどうNHK杯の戦いを挑むか。

 アンドリュースは3位以上が条件だが、自己最高は191.26点と少し厳しい状況。またグレンと住吉は2位以上にならなければGPファイナル進出の可能性はなくなるが、自己ベスト上位は201.02点のグレン。

 ただ、自己ベストはフランスで出した194.34点ながらも4回転トーループにも挑戦している住吉が、6枠目に食い込んで来られるような戦いをするかにも注目したい。

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