村上佳菜子が展望する北京五輪の羽生結弦、宇野昌磨、鍵山優真。「日本の表彰台独占もあり得る」 (3ページ目)
今季は、本当にどんどんどんどん成長していく背景があったからこそ、この北京五輪をいい形で迎えることができ、またサルコウとトーループの4回転ジャンプも安定したのかなと思います。やっぱりあれだけのスピード感をつけたスケーティングから跳ぶジャンプの安定感はすばらしく、本当にジャンプにブレがなくて、私は何回も見ていたいと思うくらいの大好きなジャンプなんです。あのジャンプを跳ばれると、GEO(出来ばえ点)でも加点につながっていくと思います。
男子シングルでは、冒頭に述べたとおり、本当にメダル独占もあり得ると思うぐらいのレベルの高さが日本代表選手にはあります。世界を引っ張っていっている3人なので、ミスをしなければメダルの可能性というのは高くなってくるはずです。そこに立ちはだかるのがアメリカ勢のネイサン選手でしょう。私の注目は、ネイサン選手がどんな演技構成のプログラムで挑んでくるのかですね。線の細さですごくキレのあるジャンプを跳ぶヴィンセント・ジョウ選手(アメリカ)も今季調子がいいので、油断できない選手だなと思っています。
五輪ではメダルを獲るためにどういうジャンプ構成を組めばいいのか、基礎点が1.1倍になる演技後半に難しいジャンプを入れて挑戦していかないと勝てないのか、そこは選手それぞれによって違うはずです。たとえば、羽生選手は4回転アクセルの成功率をどこまで高めて挑むのか、またネイサン選手は前回五輪で悔しい思いをしているからこそ、どうやれば勝てるのかをすごく悩んでいる感じがしますし、今回にかける思いは皆、強いと思います。北京五輪の表彰台争いは、日本勢3人と米国勢2人が有力候補だとは思います。
(女子シングル編につづく)
【プロフィール】
村上佳菜子 むらかみ・かなこ
プロフィギュアスケーター。1994年、愛知県生まれ。フィギュアスケート選手時代には、ソチ五輪出場(2014年)や四大陸選手権優勝(2014年)などの成績を残す。2017年に引退後は、プロフィギュアスケーターやフィギュアスケート解説者として活躍。タレントや女優として数々のテレビ番組にも出演中。
フォトギャラリーを見る
3 / 3