鍵山優真の成長の秘密と今後の課題を、本田武史が徹底解説 (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihiro

 もうひとつの来季の課題は、演技をいかに魅せられるかだと思います。これはローリーが言っていることですが、「魅せる」というのがまだできていないというのが彼女の意見なんです。フリーの『アバター』もSPの『ボカッション』も、彼らしいスピード感、勢いは十分出ており、それも表現のひとつだと思います。

 ただ、やはり羽生選手やチェン選手のように、間を取って空気感を作ったり、ためを作ったりすることはできていない。17歳の鍵山選手に「色気を出せ」というのは難しいと思いますが、そこは今後の課題になってくるはずです。演技構成点でみるとトップ選手が9点台なのに対して、鍵山選手は8点台ですから、そこはまだ伸びしろがあるということでもあります。

 鍵山選手は今回の活躍で、北京五輪のメダル候補に名乗りを挙げたと言ってもいいでしょう。これからは五輪までにどういうふうに練習をしていくか、またプログラムはどうするのか。大いに注目されます。
(つづく)

Profile
本田武史(ほんだ・たけし)
1981年3月23日、福島県生まれ。
現役時代は全日本選手権優勝6回。長野五輪、ソルトレークシティー五輪出場。2002年、03年世界選手権3位。現在はアイスショーで華麗な演技を披露するかたわら、コーチ、解説者として活動する。

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